あっという間に春めいたかと思えば、急にどんより冬の空模様。
「三寒四温」の言葉通りの毎日ですね。
気候が不安定なこの時期、更年期の症状が目立ちはじめます。

更年期症状はどうして起こるのでしょうか?

更年期になったら、今までとは違う不快な症状に悩まされます。
女性は卵巣に卵がある限り、脳からの卵胞発育ホルモンによって卵が成長し、女性ホルモン「エストロゲン」が分泌し、毎月月経が起こります。この卵は50歳前後で無くなり、閉経に至りますが、脳では卵胞が無くなったことを認識できず、卵胞を発育させる刺激ホルモンを大量に出すようになり、脳の働きが影響を受け、誤作動を生じるようになります。例えば、体温の調節、汗の調節、心臓の鼓動、睡眠リズム、つまり自律神経の働きすべてが影響を受け、急に熱くなるホットフラッシュ、気温と関係ない発汗、睡眠障害、動悸などその方の体質によってさまざまな症状に悩まされるようになります。

更年期症状の改善方法

 ホルモン補充療法(HRT)

産婦人科でよく勧められるのが、ホルモン補充療法です。最近はあらゆるメディアで紹介されるようになり、少しずつ認知されるようになってきました。

治療方法は、子宮がある方と無い方に分かれ、子宮のある方はエストロゲン剤と、黄体ホルモン剤の併用、子宮の無い方はエストロゲン剤を補充する方法に分かれます。利点は、ホルモンが減少して起こる不快な症状の改善、骨粗しょう症の予防、動脈硬化の予防などがあげられます。一方乳がんの発症率が高まる、血栓による循環器障害のリスク、肝機能障害、胃の不快感、不正出血などがデメリットとして挙げられ、以下の条件に当てはまる方は服用できません。

1.乳がん、子宮体がんなどにかかっている、 またはかかったことがある
2.血栓性の疾患にかかっている、またはかかっていたことがある
3.脳梗塞、または心筋梗塞を患っている
4.不正出血がある
5.肝障害がある

 体調に合わせた漢方薬の服用

更年期の不快な症状を改善し、元気に過ごすための方法として漢方薬の服用は、大変有効な方法です。東洋医学では、「肝」の働きが自律神経と深くかかわり、「腎」の働きが老化と深くかかわるとしており、「肝」「腎」の働きが更年期障害の大きなポイントとなります。ですから、「肝」と「腎」の働きを助ける漢方薬を中心として、さらに体質や、症状に合わせた漢方薬で全体のバランスをとるようにしていきます。

体がほてるのは潤い不足(腎陰虚)

老化とともに体は水分が不足していきます。また女性ホルモンは潤いを補う力があり、女性ホルモンが不足することで体は潤い不足の傾向になり、車のラジエターの水が無くなるとヒートアップするように、体の熱を冷ますことができなくなり、口が渇いたり、体がほてったり、体や顔、膣などが乾燥してかゆみに悩まされたり、暑くもないのに汗をかいたりするようになるのです。

このような症状が出てきたら、「腎」の陰の不足
体の潤いを補う方法で、つらい症状を緩和していきます。

陰を補う食べ物

ゆり根 梨 きゅうり 蓮根 トマト 豆腐 白きくらげ 貝  豚肉   杏仁 松の実 あわび 太刀魚 銀杏 なまこ レモン ライチ はちみつ ヨーグルト 黒米 メロン スイカ クコの実 ごま等

食養生で症状が改善できないときは、腎陰を補う漢方薬の服用が有効です。この場合、地黄、女貞子、旱蓮草 亀板、石斛 黄精などを含む漢方薬がおすすめです。体質や、状況にあった処方の漢方薬を漢方の専門の先生に相談しましょう。

手足が冷え、寒さに弱くなるのは陽気の不足(腎陽虚)

更年期を迎え、「腎」の力が弱まると、「腎」の陽の力が弱まり、体の冷えがさらにひどくなることがあります。「腎」は体のボイラーの働きがあり、暖かくする力を持っています。疲労、倦怠感に悩まされる、足腰がだるい、むくみやすい、夜中にトイレに起きる、腰痛があるなどの症状に悩まされることが多いと「腎」の陽の力が不足している可能性があります。
「腎」の陽を補う方法で、つらい症状を緩和し老化を防ぐようにしていきます。

腎陽を補う食べ物

なまず なまこ えび なまこ  牡蠣 なた豆 等

腎陽を補う食べ物は少ないのですが、温める力はなくても腎を補う食べ物と、気を補う食べ物でも症状の改善につながります。黒豆山芋サツマイモジャガイモシジミなどは平性ですが、腎の気を補う働きがあるのでおすすめです。

腎陽を補うには、鹿茸、 補骨脂、 杜仲、 トシシ、 続断、 巴戟天’(はげきてん)、淫羊藿(いんようかく)などを含む漢方薬がおすすめです。

急にイライラするのは肝気の滞り

更年期では精神面でも大きな影響を受けます。いつもはそれほど怒らないことでもイライラして、声を荒げてしまう。いつも怒りがちで、他人のミスが許せなくなる。起こりすぎた後、落ち込むようなことが多くなる。そのような症状が出てきたら、肝気の滞りがある状況。気の流れをよくする方法で改善を考えます。気の流れをよくするには、体を伸ばす運動や、呼吸法がおすすめ。ストレッチ効果のある運動を呼吸を意識して行う運動は効果的に肝の気の流れを効果的に良くする方法としておすすめです。

気の流れをよくする食材

三つ葉 セリ セロリ ミントなどの香味野菜 かんきつ類などの酸味のある食べ物 菊花茶 ミント茶 ジャスミン茶 ラベンダー茶など

気の流れをよくするには、我慢が悪影響。
言いたいことは、我慢しすぎず小出しに言うことが大切です。
しゃべったり、運動したり、笑ったり
様々な方法で発散しましょう。
気の流れをよくするには、香附子、木香、陳皮、枳実、厚朴、縮砂、柴胡などを含む漢方薬がおすすめです。

次は
やる気が起きないのは肝の気血不足、
夜中に何度も目が覚めるのは心と腎のバランスの乱れ、
いびきをかくのは老廃物をため込む痰濁タイプ、
頭痛、肩こりに悩まされるのは血流の悪い瘀血タイプ
について、また後程ご紹介いたします