50代は「これから」のための曲がり角
女性の体の変化を、西洋医学と中医学から考える
先日、「女性の心と体をととのえる50代からのセルフケア講座」がありました。
婦人科医の高尾美穂先生からは、女性ホルモンの変化と更年期、その先の健康について。
そして中医学の立場からは、健康寿命を延ばすために大切な「活血」と「補腎」についてのお話でした。
50代というと、「更年期をどう乗り切るか」に目が向きがちです。
しかし今回のお話で印象的だったのは、更年期だけを見るのではなく、その先の60代、70代、80代をどう元気に過ごすかを考えることでした。
女性は長生き。でも「健康で過ごせる時間」には差がある
日本人女性の平均寿命は約87歳。
一方、健康上の制限なく生活できる「健康寿命」は、それより10年以上短くなっています。
つまり、長く生きることだけではなく、
「自分の足で出かける」
「食べたいものをおいしく食べる」
「大切な人と話し、笑う」
そんな時間をできるだけ長く保つことが大切になります。
50代は、そのための一つの大きな曲がり角です。
更年期は「ホルモンがなくなる時期」ではなく、体が変化に慣れていく時期
更年期には、卵巣から分泌されるエストロゲンが大きく揺らぎながら減少していきます。
卵巣が十分に応えられなくなると、脳は「もっと働いて」と刺激を強めます。
この脳の働きは、自律神経の調節とも深く関係しています。
そのため、
ほてり
発汗
動悸
のぼせ
など、自律神経に関係する症状が現れやすくなります。
こうした「揺らぎ」による症状は、体が新しいホルモン環境に慣れていくにつれて、次第に落ち着いていくことがあります。
しかし、ここで大切なのは、
「更年期が終われば、すべて元に戻るわけではない」
ということです。
エストロゲンが減った影響は、その先も続く
エストロゲンは、生理や妊娠だけに関係するホルモンではありません。
肌、髪、血管、骨、筋肉、そして心の状態など、女性の全身を支える働きを持っています。
たとえば皮膚では、エストロゲンはコラーゲンの産生に関係しています。
エストロゲンが減ると、皮膚の水分を保つ力も低下しやすくなり、乾燥などの変化が現れます。
血管も同様です。
女性は若い頃には高血圧が比較的少ないものの、閉経以降になると血圧やコレステロールの問題が増えていきます。
さらに、骨量も閉経後から減少しやすくなります。
講演の中で特に興味深かったのが、
「骨は顔から減る」
というお話でした。
私たちは顔の変化を見ると、シワやたるみ、皮膚や筋肉の変化を考えます。
しかし、そのさらに下には骨があります。
顎の骨や目の周囲など、顔の骨そのものも年齢とともに変化していくため、顔立ちの変化には皮膚だけではなく「土台」の変化も関係しているというお話でした。

目の周りの骨が減り、目が落ち込む、
頬骨が減り、頬がこける
あごの骨が減り、顎がたるむ
絵のような変化が起きるとのことです
50代からの体を考えるとき、表面に現れる変化だけではなく、その内側で起きている変化にも目を向ける必要があります。
中医学では「病気になる前」を大切にする
ここから中医学のお話です。
中医学には「未病先防(みびょうせんぼう)」という考え方があります。
病気になってから治療するだけではなく、
「なんとなく疲れる」
「冷えるようになった」
「眠りが浅い」
「肩が凝る」
「以前より回復に時間がかかる」
といった小さな変化に気づき、病気になる前から手を打っていく考え方です。
50代からのセルフケアで大切なキーワードとして紹介されたのが、
「活血」と「補腎」
でした。
「活血」――血をしっかり巡らせる
中医学でいう活血とは、単に「血液をサラサラにする」という意味だけではありません。
血液が十分に巡り、必要な酸素や栄養を全身に届け、老廃物を回収できる状態を保つことを考えます。
血液の流れが滞った状態を、中医学では「瘀血(おけつ)」と呼びます。
瘀血があると考えるサインには、
肩こり、頭痛、冷え、シミ、皮膚のくすみ、しこり、静脈瘤など、さまざまなものがあります。
女性は月経によって長年にわたり血を消耗する一方、月経に伴って血の巡りの問題も生じやすいという特徴があります。
そのため女性の体では、「血が足りないこと」と「血が滞ること」の両方を見ることが大切だという説明がありました。
舌は、自分で毎日見ることのできる「体の鏡」
中医学らしい興味深い話として、舌の観察も紹介されました。
健康な舌は、淡い赤色で、表面に薄く苔がある状態が一つの目安です。
一方、舌に紫色の斑点が見られたり、舌の裏側の血管が太く目立ったりする場合には、血の巡りの状態を考える材料になります。
もちろん、舌だけで病気を判断することはできません。
しかし、
毎朝、歯を磨くときに自分の舌を見る。
それだけでも、昨日までの自分との変化に気づくきっかけになります。
セルフケアとは、特別なことをするだけではなく、こうして自分の体を観察することから始まります。
もう一つの鍵「補腎」
中医学でいう「腎」は、西洋医学の腎臓だけを意味するものではありません。
成長、発育、生殖、老化、骨、歯、耳、髪など、生命の根本的な働きに関係する概念です。
そして年齢を重ねるにつれて、この「腎」の力も少しずつ変化していくと考えます。
腎の働きが弱くなった「腎虚」では、
足腰や関節の弱り
骨の問題
耳の聞こえにくさ
物忘れ
集中力の低下
疲れやすさ
などが現れることがあります。
そこで、年齢とともに衰えていく力を補い、体の土台を支えていこうというのが**「補腎」**です。
活血と補腎は、別々ではない
今回のお話で重要だったのは、活血と補腎を別々に考えないことでした。
血が十分に巡ること。
そして、年齢とともに変化する生命力の土台を支えること。
この二つは互いに関係しています。
日常生活でできることとしては、適度に体を動かす、体を冷やしすぎない、規則的に眠る、偏りすぎない食事をとることなどがあります。
そして印象的だったのが、
「笑う」「歌う」ことも巡りにつながる
というお話です。
中医学では、気と血は密接に関係すると考えます。
気持ちが緊張し続ければ、体もこわばります。
反対に、笑ったり、歌ったり、呼吸を大きく使ったりすることは、気持ちを緩め、巡りを助ける一つの養生になります。
セルフケアというと「○○を食べなければ」「運動しなければ」と考えがちですが、こだわりすぎず、肩の力を抜いて
生活全体を見てよいのだと思います。
「正しい養生」を押しつけない
パネルディスカッションで、猪越先生のお話にも印象に残る部分がありました。
「早く寝たほうがいい」
これは確かに正しいことです。
しかし、仕事から帰るのが夜10時、11時で、そこから食事の支度をする人に「早く寝てください」と言っても現実的ではありません。
大切なのは、理想的な生活を一方的に押しつけることではなく、
その人の今の生活の中で、何なら変えられるのかを一緒に考えること。
これは漢方相談でも非常に大切な視点だと思います。
人によって体質も違えば、仕事も家庭環境も、食事も睡眠時間も違います。
だからこそ、「これさえすれば健康になる」という一つの正解ではなく、自分の体を知り、自分に合った方法を見つけていくことが必要になります。
50代から目指すものは「完璧な健康」ではない
最後に、高尾先生のお話でとても印象に残ったことがあります。
睡眠をとることも、運動することも、食事を整えることも、それ自体が人生のゴールではありません。
その先にあるのは、
行きたいところへ行く。
食べたいものをおいしく食べる。
会いたい人に会う。
大切な人と笑う。
そんな時間をできるだけ長く持つことです。
50代は、人生の下り坂の始まりと考えることもできます。
けれども同時に、これから先の自分の体と向き合い直す「曲がり角」と考えることもできます。
中医学の「未病」という考え方も、病気を怖がって暮らすためのものではありません。
今の自分の小さな変化に気づき、血の巡りを大切にし、年齢とともに変化する体の土台を補いながら、
これからの人生を、自分らしく過ごせる体をつくっていく。
今回の講演を通して、改めてその大切さを感じました。
相変わらずの猛暑
雨も降らず、厳しい毎日です
庭の水やりに追われる毎日ですが
庭ではルドベキア・タカオが一番元気に咲いています
とても元気なお花で、しおれず、ヒマワリの小さい花みたいで、見事な姿は元気をもらえます。
花ことばは
「あなたを見つめる」「正義」「公平」「立派」「強い精神力」
私もそうでありたいと思いました









