今日は久しぶりの青空。

ほっとしていらっしゃる方もおられると思います。

雨はありがたいのですが、各地の災害のことを思うと手放しに喜べず、複雑な心境でした。

私は更年期の年齢を過ぎ、今までの自分の体のことを振り返り、そしてこれからの健康について考えることが増えました。

そんな中、先日、世界の更年期医療についての最新ニュースを目にしました。

長年、女性の漢方相談をしてきて感じていたこと、そして中医学で昔から大切にされてきた考え方とも重なるところがあり、今日はそのことについて書いてみたいと思います。

 

「更年期になったら、ほてりや汗、不眠などが出てくるもの」

そんなイメージを持っておられる方は多いかもしれません。

でも、私自身もそうでしたが、体の変化はある日突然「更年期になった」と始まるわけではありません。

40代になると、

「以前より疲れが取れなくなった」
「眠りが浅くなった」
「生理の周期や量が変わってきた」
「冷えるのに、時々顔が熱くなる」
「イライラしたり、気持ちが落ち込んだりする」
「体重が落ちにくくなった」
「肩や腰、関節の不調が増えてきた」

など、それまでとは少し違う変化を感じる方が増えてきます。

まだ生理があるから、更年期ではない。

それほど困っていないから、まだ何もしなくても大丈夫。

そう思っていらっしゃる方も多いのですが、私はむしろ、この「まだそれほど困っていない時期」がとても大切だと考えています。

漢方では、小さな変化も大切にします

漢方では、閉経したかどうかだけで体を見るわけではありません。

月経、冷えやほてり、睡眠、疲れ、胃腸の調子、気持ちの変化。

こうした一つひとつも、今、その方の体がどのように変わってきているのかを知る大切な手がかりになります。

中医学では、女性は年齢とともに「腎」の働きが少しずつ変化していくと考えます。

「腎」は生殖や成長、老化などと深く関わるものですが、実際の体調は「腎」だけで決まるものではありません。

気血の不足、血の巡り、肝の働き、胃腸の状態など、それまでどのような体質で、どのように年齢を重ねてきたかによって、現れる変化も違います。

だからこそ、同じ40代、同じ更年期でも、使う漢方薬が皆同じということはありません。

 

Nさんは、妊活をきっかけに漢方薬を飲み始められました。

妊活の時期も終わり、ほっとした頃、気がつけば50歳手前。

月経が乱れ始めました。

出血が長引いたり、いつもより早く月経が始まったり。
夜の睡眠が思わしくないこともありました。

妊活が終わってからも少しずつ続けていただいていた漢方薬を、その時の体の変化に合わせて調節しました。

月経も少し落ち着き、その後50歳を過ぎてしばらくして閉経。

ホットフラッシュはある程度ありましたが、我慢できるほどで、大きく体調を崩すことなく更年期を過ごされました。

今も、その時々の体調に合わせながら、少しずつ漢方薬を続けていらっしゃいます。

私は、このような方をこれまで何人も拝見してきました。

「更年期になってから漢方を始める」のではなく、もっと前から、その時々の体の変化に合わせて整えていく。

そこに漢方の良さの一つがあるのではないかと感じています。

世界の更年期医療でも「その先」が注目されています

そして今回、興味深く感じたのが、2026年に欧州更年期・男性更年期学会(EMAS)が発表した新しいPosition Statementです。

そこで示されているのは、更年期を「ほてりや発汗などの症状を治療する時期」としてだけ捉えるのではなく、その後の長い人生の健康を考える大切な機会として捉えていこうという考え方です。

更年期からその先には、骨、筋肉、心血管・代謝、睡眠、認知機能など、さまざまな健康課題があります。

更年期症状が落ち着けば、女性の体の変化がすべて終わるわけではありません。

むしろ40代、50代から、その先の60代、70代、80代をどう元気に過ごしていくかを考えていく。

そんな方向へ、更年期医療の視点も広がってきています。

この最新ニュースを読んで、私は中医学で昔から大切にされてきた考え方を改めて思いました。

漢方には「未病先防」という考え方があります

中医学には、「未病先防(みびょうせんぼう)」という大切な考え方があります。

病気になってから治療するだけではなく、まだ病になる前の小さな変化に気づき、早くから体を整えていくという考え方です。

健康診断や検査の数値も、今の体を知るための大切な手がかりです。

でも、検査数値にはまだ異常がなくても、

冷える。
疲れが取れない。
眠りが浅くなった。
胃腸の調子が以前と違う。
月経が変わってきた。
肩や腰、関節がつらくなってきた。

そんな変化を、体は少しずつ教えてくれていることがあります。

漢方では、こうした一つひとつの変化を大切にし、その方の体全体を見ながら整えていきます。

食事、運動、睡眠などの生活習慣も大切にしながら、まだ病になる前に漢方でできることは多くあると、私は長年の相談を通して感じています。

40代は、その先の体を考える大切な時期

40代になって、

「以前とは少し違うな」

と感じたら、それはご自身の体について改めて考えるよい機会なのかもしれません。

まだ我慢できるから。
まだ生理があるから。
病院へ行くほどではないから。

そう思っている時期から、これからの体に目を向けてみる。

更年期を、つらい症状が出てから何とか乗り切るだけの時期にするのではなく、その先の体を考えるきっかけにする。

50代、60代、そしてその先も、自分らしく元気に過ごすために、40代からできることがあります。

私は漢方相談を通して、今のお悩みだけではなく、その方がこれまでどのような体質で過ごしてこられたのか、そしてこれからどのように年齢を重ねていくのかも一緒に考えていきたいと思っています。

庭のユーパトリウム
一斉に咲きだしました

ユーパトリウムの花言葉は「思いやり」
小さな花が集まって、今年も優しく咲いています。