非結核性抗酸菌症(肺MAC)という病気をご存じでしょうか。
近年、肺MAC症と診断される方が増えてきています。
進行は比較的ゆっくりですが、一般的な抗生物質が効きにくく、治療に時間がかかることもある厄介な病気です。
当薬局にも、肺MAC症と診断され、咳や痰、血痰、体力の低下などについて漢方相談に来られる方がいらっしゃいます。
漢方では、生薬の中にも抗生物質とは異なる形で、古くから感染症に対して用いられてきたものがあり、当薬局でも、桔梗、連翹、防風、忍冬、金銀花、露蜂房など、その方の症状や体質に合わせて生薬を使い分けています。
今回は、肺MAC症と診断され、咳や血痰が出るようになった方のご相談例をご紹介します。
肺MAC症で咳・血痰に悩まれていた方の漢方相談例
今回ご相談に来られたのは、肺MACと診断されている方です。
8~9年ほど前、人間ドックで肺に影が見つかり、肺MAC症が判明しました。
その際に抗生物質を服用したところ、肺の影が薄くなったため、その後は半年ごとに検査をしながら経過を見ることになりました。
しばらくは大きな変化もなく過ごされていましたが、半年前の検査で再び肺の影を指摘されました。
その後、3カ月ほどして検査を受けても状態は変わらず、「もう少し様子を見ましょう」と言われていました。
そんな中、8月に畑の草むしりをしていた際、尻もちをついてしまいました。
その後、シャワーを浴びて落ち着いていると、咳が出始め、その咳とともに濃い色の血痰がしっかりと出たそうです。
ご本人にとっても、とても心配になる出来事だったと思います。
問診で症状や体調を詳しく確認し、さらに糸練功を用いて体の状態を確認しました。
今回は、先ほどご紹介した生薬も取り入れながら、気・血・水のバランスを整え、咳や痰などの症状を楽にしていくことを目的に漢方薬を選びました。
その後の経過
服用を始めて3カ月ほどすると、咳や痰などの症状が少しずつ軽減していきました。
また、それまで減っていた体重も少しずつ増え始め、体全体の調子にも変化が見られるようになりました。
4カ月ほど経った頃には、調子が良くなってきたと感じられるようになり、以前よりも日常生活を楽に過ごせるようになってきました。
そして半年後。
病院でレントゲン検査を受けたところ、それまで指摘されていた肺の影が見られなくなっていたそうです。
咳や痰などの症状も、現在ではほとんど気にならない状態まで落ち着いています。
肺MACは長く付き合っていくことになるケースも多く、今回も一度の服用で終わったわけではありません。
これからも良い状態を保てるよう、病院で定期的な検査を受けながら、体調に合わせて漢方薬を継続されています。
漢方薬というと、「体質を改善するためのもの」というイメージが強いかもしれません。
しかし、生薬それぞれの性質を活かし、体質を整えるだけでなく、症状や病気そのものに対して働きかけることを目的として漢方薬を用いることもあります。
漢方には、まだまだ私たちが活かしきれていない可能性があると感じています。
これからも一つひとつの生薬の性質を学びながら、漢方薬の可能性をより深く追求していきたいと思います。




