「基礎体温」と聞くと、どんなイメージがありますか?
月経周期や排卵日を把握するためのもの、でしょうか。
実は基礎体温からは、驚くほどたくさんのことを知ることができます。
本日は、基礎体温をもっと活用して皆さまの妊活をまた一歩前進させるためのお話をいたします。
基礎体温とは
基礎体温の基礎知識
基礎体温とは、人間が生きていく上で最低限必要なエネルギーしか使っていない時の体温、つまり寝ている間の体温のことです。
基礎体温は、風邪など何かの病気になったりしない限りは、通常0.3~0.5℃の間で月経周期に合わせて変化します。
月経初日から排卵日までは基礎体温は低く「低温期」と呼ばれます。その後、排卵期に基礎体温はスッと上がり、排卵後から月経前日までは基礎体温が高くなるため「高温期」と呼ばれます。
基礎体温が月経周期に合わせて上下するのには、卵胞の発育と深いつながりがあります。
卵胞とは、卵子を包み卵子に栄養を与えるお部屋のようなものです。低温期には卵胞は排卵に向けて大きく成長し、排卵日に卵胞が破れて中の卵子が飛び出します。空っぽになった卵胞は“黄体”となり、妊娠に向けて体温を上げるホルモン“プロゲステロン”を分泌します(高温期の始まり)。黄体は約14日で寿命を迎えてプロゲステロンの分泌が止まるため、それが刺激となって月経が起こり、基礎体温もまた下がります(低温期の始まり)。
これが月経周期に合わせて基礎体温が上下するしくみです。
基礎体温のつけ方
基礎体温のつけ方とポイント
実際に基礎体温を測ってみましょう。
基礎体温は、人間が生きていく上で最低限必要とするエネルギーしか使っていない時の体温ですので、測るタイミングは目覚めてすぐのまだ体を動かしていない時です。
起き上がるだけで体温は上がってしまいますので、枕元から手を伸ばして届く位置に婦人体温計を置いておきます。目が覚めたら起き上がらずに、婦人体温計を舌の下(舌の裏)に入れ、中央奥の筋の横辺りにあて、しっかり口を閉じて測ります。
体温計は、婦人体温計を使ってください。婦人体温計は、普通の体温計と違って「36.○○」小数点第二位まで正確に測れます。妊活をするにあたって36.66℃と36.73℃の違いは大きく、それが一緒くたに36.7℃と表示されてしまってはお体の状態を正確に把握することができません。
婦人体温計には2種類あり、予測式の体温計と実測式の体温計があります。予測式の体温計は20秒~1分で体温を予測して表示します。実測式は、5分間で実際の体温を測定します。おすすめはより正確な5分間の実測式のものですが、毎朝5分間測るのが無理ならば、なるべく長めの予測式のものをお使いください。
また、基礎体温は毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きた後に測ることが理想です。起床時間のブレは体温のブレに繋がります。休日ついつい遅起きをしてしまう方は、いつもと同じ時間に一旦起きて、体温だけでも測ってから二度寝してください。もし、いつも起きる時間より少し早く目が覚めてしまった時は、その時に計測した方が正しく測れます。目覚めると体温が上がってしまい、その後はなかなか正確に測れなくなります。
加えて、睡眠時間が短いと体がしっかりと休まらず、基礎体温が高めになるため、最低5時間以上の睡眠を取った後に測りましょう。
- 起き上がらずに測る
- 婦人体温計を使う(なるべく実測式のもの)
- なるべく同じ時間に寝て同じ時間に測る
- 睡眠を5時間以上取った後に測る
以上のことが守れなかった日や体調が悪かった日、またはこの次の項である「基礎体温が乱れた時に確認すること」に書かれてあるようなことがあった場合には、なるべく基礎体温の備考欄にそれを記載するようにしてください。
そうすることでより正確に基礎体温を読み解くことができます。
基礎体温が乱れた時に確認すること
いざ基礎体温を測ってみるとすごくガタガタ…。ピョンピョンと飛び出るように上がっているところがある…。ということがよくあります。
そういう体質だと捉えて対策を始める前に、まず確認していただきたいことが「生活習慣」です。
最近の経験では、体温がものすごくガタガタギザギザしている方に、よくよくお話を聞いてみたところ、睡眠時間が日によってバラバラだということがわかりました。
体温を乱す可能性のあるものは以下の通りです。
- 寝る前の飲酒
- 夜のコーヒー
- 睡眠時間が5時間未満
- 夜中に何度も起きている
- 部屋が暑すぎるもしくは寒すぎる
- 2度寝、3度寝した後に測っている
- 計測時に口をちゃんと閉じられていない(ウトウトしていたりして意外と多い)
寝る前の飲酒は基礎体温が高めに出やすくなります。高めに出るということは、睡眠時に必要以上のエネルギーがお酒を解毒するために使われているということ。体の為にも、寝る直前のお酒や、毎晩酔うくらいまでお酒を飲むのは控えた方がよいでしょう。
加えて、睡眠時間が短かったり、夜中に何度も起きたりしていると基礎体温は高めに出ます。これらは体への負担も大きいため、基礎体温の問題とは別に対策が必要です。生活習慣を工夫するだけで改善できそうになければ、漢方薬で内側から整えるのがおすすめです。
また、気温の変化も体に負担となり基礎体温の乱れに繋がります。急に気温が下がった時は体も冷えて体温も低くなりますし、熱帯夜が続く日は体温も高めで安定しないようです。冬は暖かくして寝る、夏は涼しくして寝る、夏場は我慢し過ぎずに上手にエアコン等を利用してください。
そして、体に負担がかかっているわけではないのですが、2~3度寝をした後に測ると基礎体温は高めに出ます。解決法としては、1度目が覚めた時に計測だけしてしまい、その後2度寝、3度寝をしてください。その時にウトウトしながら計測し、口が途中で開いてしまうという話を時々聞きます。体温が実際より低く出ますのでご注意ください。
基礎体温は大事?基礎体温からわかること
理想的な基礎体温とは? 基礎体温の平均は?
先ほど説明した通り、基礎体温は卵胞の発育やホルモンの働きを受けて上下します。ですから、基礎体温が乱れるということは、体の働きが乱れているということ、それだけ体に負担がかかっているということです。
つまり、理想的な基礎体温と自分の基礎体温を見比べることで、体にどんな負担がかかっていて、どんなケアが必要かを知ることができます。
理想的な基礎体温のグラフとそのポイントは、下のようになります。
- ① 低温期は平均36.2~36.3℃
- ② 高温期は平均36.7~36.8℃(36.7℃以上37℃以下)
- ③ 低温期は約2週間
- ④ 排卵期には3日以内にスムーズに上がる
- ⑤ 高温期が12~14日続く
- ⑥ 低温期と高温期がはっきりと二相に分かれている(0.3~0.5℃)
- ⑦ 月経に合わせてスッと下降する
- ⑧ 体温のガタツキが少なく安定している
それではこれから、理想的な基礎体温のポイントと照らし合わせながら、基礎体温からわかることをご説明します。
① 低温期の基礎体温が平均36.2~36.3℃より高いもしくは低い
低温期の基礎体温が高い場合、体に要らない熱がこもっていると言えます。体温は高いほど良いわけではなく、体に熱がこもると、卵の老化や質の低下、必要な潤いの消耗、イライラ、疲れ、不眠や不安などに繋がるためケアが必要です。
この場合、もしホットヨガや生姜をよく食べるなど体を温めるために特別なことをしているのなら、それは控えるべきです。気温が高い時の野外作業、汗のかきすぎ、長風呂、ストレス、睡眠不足、血の巡りの悪さ、性生活のし過ぎなども熱がこもる原因になるため、チェックしてみてください。
また、ホルモン治療をしている場合や、子宮内膜症や子宮腺筋症などで子宮内の炎症が強い場合、甲状腺機能亢進症の場合も体温が高くなります。お砂糖たっぷりの甘いものや揚げ物などの脂っこいものは炎症反応を助長しますので、控えるようにしましょう。どうしても我慢できない時は、〖食べながら我慢する〗実践スイーツとの付き合い方もご覧ください。
漢方薬は、要らない熱を冷ます漢方薬や、潤いを補う漢方薬、炎症を抑える漢方薬、気や血の巡りを良くする漢方薬などを使います。
低温期の基礎体温が低い場合は体が冷えています。体が冷えていると酵素の働きが悪くなります。卵胞の成長、排卵、受精、着床、胎児の成長、妊活の全ての段階に酵素の働きが関わります。
妊活に冷えは大敵。最低でも36.0℃は下回らないことを目標に、優先してケアをしましょう。
まず、胃腸を冷やさないことが重要です。腸は体の中で一番大きな臓器。ヒダヒダになっている部分を広げると、その面積は大腸でテニスコート半面分、小腸ならテニスコート1面分にもなります。そんなに大きくて広い面積が冷えるともちろん体は冷えます。冷たいものや生ものを毎日食べていませんか?温かいもの、火の通ったものを食べましょう。
次に、筋トレがおすすめです。熱の発生源である筋肉を増やして体温を上げましょう。おすすめはスクワット。体の7割の筋肉が集まっている下半身を鍛えることで、効率よく筋肉量アップを狙えます。
また、毎日シャワーで済ませずに湯船に浸かるのもおすすめです。1日で溜め込んだ冷えを取ることができます。「その日の冷えはその日の内に」です。
基礎体温が35℃台になるほど冷える方の中には、元々体を温める力が弱い方がいます。その場合は漢方薬で体を温める力を補います。他にも、体にこもった冷えを取る漢方薬などを使います。
② 高温期の平均が36.7℃~37℃より高いもしくは低い
高温期の基礎体温が37℃を上回る場合は、低温期の基礎体温が高い場合と考え方は同じです。
高温期の基礎体温が36.7℃を下回る場合には、大きく分けて2つのタイプがあります。
低温期の基礎体温の平均が36.2~36.3℃より低い場合は、低温期の基礎体温が低い場合と考え方は同じです。
低温期は平均36.2~36.3℃なのに、高温期が36.7℃くらいまで上がらない時は様々な理由が考えられます。この後の低温期と高温期がはっきりと二相に分かれていない(差が0.3℃未満)をお読みください。
また、妊娠&着床しやすい子宮内の温度は約37℃、舌下で測る基礎体温なら36.7℃くらいです。そこで妊活相談では、高温期の基礎体温が36.7℃をなるべく超えていること(ただし37℃以下)、超えた状態が続くことを1つのポイントにしています。
③ 低温期が2週間以上続くもしくは2週間未満
低温期が長く16日以上続く場合、卵胞の発育に時間がかかっているといえます。卵胞がうまく育たない原因として、中医学的には、卵胞が発育するエネルギーとなる”気”や卵胞に栄養を与える”精血”の不足、そしてその巡りの悪さが考えられます。
気や精血が不足する原因には、やせ型、過度なダイエットをしている、食事がちゃんと摂れていない、胃腸が弱っていて食べたものを消化吸収できていない、仕事や子育など日常生活で消耗している、ストレスや睡眠不足で消耗しているなどがあります。改善できるものがあれば改善しましょう。
また、このタイプの方は食養生で胃腸を元気にしておくことが大切です。胃腸が元気だと、食べたものを余すことなく消化吸収して気と精血を作ることができます。まずはよく噛んで早食いしないこと、腹7~8分目を意識して食べること、温かく火の通ったものを食べることを基本として意識しましょう。
漢方薬は、不足している気や精血を補うものや、その巡りを良くするものを使います。また、このタイプの方にはもともとの生命エネルギーが少なめな方がいるため、その場合は生殖や成長をつかさどる“腎”を元気にする漢方薬を使います。
このタイプの方には、月経周期が40日以上になったり、2~3か月来なかったりする方がいらっしゃいます。その場合は、“多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)”の可能性もあり、うまく排卵できていないことが考えられます。その場合は高温期がなく一相性になるタイプもご覧ください。
低温期が短く14日未満の場合は、卵胞の発育が早いのではなく、卵胞が成長しきらず未熟なまま排卵してしまっていると考えられます。卵胞は通常1日2mmのペースで成長し約18mm~22mmまで成長してから排卵を迎えますので、1日の違いは大きな違いです。
低温期が短く、基礎体温も少し高めの場合は、体に熱がこもっていることが考えられます。その場合は、低温期の基礎体温が高い場合をご覧ください。
そして、このタイプには胃腸の弱りも関係します。胃腸の弱りは、周期が長くなることと短くなることの両方に繋がります。周期が短く、基礎体温が正常か正常より低め、他の胃腸の症状(胃もたれや胃痛、食欲不振、下痢など)もあるようであれば、胃腸の弱りを疑います。
胃腸の弱りには食養生が大切です。まずはよく噛んで早食いしないこと、腹7~8分目を意識して食べること、温かく火の通ったものを食べることを基本として意識しましょう。また、当店のTwitterやInstagramでも常に食養生について発信しておりますのでご覧ください。
漢方薬なら、胃腸を元気にするものを使います。
このタイプの方にはもう1つの場合があり、それが卵巣機能が低下している場合です。ご年齢が高い場合に多いですが、20代の方にもみられることがあります。ホルモン検査でFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が高くなることでもわかります。漢方薬では、生殖や老化をつかさどる“腎”を元気にする漢方薬を使います。食べものなら、“腎”を養う黒い食べもの(黒きくらげ、黒ゴマ、黒豆、プルーンなど)がおすすめです。
④ 排卵期に基礎体温がスムーズに上がらない
排卵期に体温がスムーズに上がらず、ガタガタと上がったり、上がりきるまでに3日以上かかる場合は、排卵がスムーズにできていないことや、卵胞の発育が未熟で良い黄体が作られていないことが考えられます。
このタイプの方は、排卵期だけ基礎体温が乱れるということは少なく、低温期や高温期の状態からも体質を判断して対応します。その上で、排卵期には巡りを良くしてスムーズな排卵を助ける漢方薬や、排卵する力を補う漢方薬を使います。
⑤ 高温期が12日未満もしくは14日以上続く
高温期が短く12日未満の場合は、黄体ホルモンの働きが不十分なことや、卵胞の発育がうまくいかず良い黄体が作られなかったことが考えられます。
低温期や排卵期にも基礎体温に乱れがある場合は、卵胞の発育がうまくいっていないことが考えられるため、その対策(③ 低温期が2週間以上続くもしくは2週間未満をご覧ください。)をしながら、高温期は黄体ホルモンの働きを助けるような漢方薬を使います。
また、高温期が9日~10日未満の場合は、卵胞が排卵しないまま黄体になってしまう“黄体化未破裂卵胞(LUF)”の場合もあります。LUFは超音波検査で確認することができ、繰り返す場合は対策が必要です。
その場合、中医学では“痰濁(体に余分な老廃物)”や“瘀血(血の巡りが悪くなったもの)”と考え、老廃物の排出力を高める漢方薬や巡りを良くする漢方薬を使います。
LUFの養生としては、体にベタベタと溜まるような甘いものや脂っこいものを控えること、運動習慣をつけて巡りを良くすることがおすすめです。
(LUFはどのような女性にも起こる症状で、1年に1~2度程度でしたら自然なことで問題ありません。)
妊娠していない状態で高温期が14日以上続く場合、妊娠、測り方の間違い、前日の飲酒や睡眠不足、治療でホルモン補充療法を継続しているなどをまず確認します。これが単体で問題になることは少なく、基礎体温や体質を全体的に見て判断して対応します。(“黄体化未破裂卵胞(LUF)”の場合は高温期が長くなることがあります。)
⑥ 低温期と高温期がはっきりと二相に分かれていない(差が0.3℃未満)
このタイプは大きく2つに分かれます。なんとなく低温期らしい相と高温期らしい相があるけれど、高温期が低くてはっきりと二相に分かれていないタイプと、高温期がなく一相性になるタイプです。
なんとなく二相に分かれているけれど高温期が低い場合は、高温期が短い場合と同じで、黄体ホルモンの働きが不十分なことや、卵胞の発育がうまくいかず良い黄体が作られなかったことが考えられます。
低温期や排卵期にも基礎体温に乱れがある場合は、卵胞の発育がうまくいっていないことが考えられるため、その対策(③ 低温期が2週間以上続くもしくは2週間未満をご覧ください。)をしながら、高温期は黄体ホルモンの働きを助けるような漢方薬を使います。
高温期がなく一相性になるタイプは、排卵できていない“無排卵”の状態と考えます。この場合、排卵できない原因は人によってさまざまで、元々の生命エネルギーが弱い場合や、卵胞が発育するエネルギーとなる”気”や卵胞に栄養を与える”精血”が不足している場合、“痰濁(体に余分な老廃物)”や“瘀血(血の巡りが悪くなったもの)”が卵胞の成長や排卵を邪魔している場合、ストレスにより“気”の巡りがとても悪くなっている場合などがあります。
病院で“多嚢胞性卵巣症候群”や“早発閉経”などと診断された方に多い基礎体温で、多嚢胞性卵巣症候群の場合、程度が重ければ外科的な処置も選択肢に入ります。
漢方薬は、体全体から判断して、生殖や老化をつかさどる“腎”を元気にする漢方薬や、”気”や“精血”を補う漢方薬、“痰濁”や“瘀血を取り除く漢方薬、“気”の巡りを良くする漢方薬を使って、卵胞の発育と排卵を目指します。食養生なら、食養生なら、巡りを悪くするようなベタベタしたもの(甘いものや脂っこいもの)を控えることや、睡眠をしっかり摂ること(早発閉経の方は特に)が大切です。多嚢胞性卵巣症候群の方の場合、よりストレスが強くかかった周期に症状が悪化することがあるため、上手なストレス発散法を見つけることも有効です。
⑦ 月経が来ても体温がスッと下降せず高い状態が続く、下がるまでに時間がかかる
この場合、前の周期の黄体や卵胞が残って次の周期に影響を与えていることが考えられます。“遺残卵胞”とも呼ばれ、次の排卵の邪魔になることもあるため対策が必要です。
漢方薬は、“痰濁(体に余分な老廃物)”や“瘀血(血の巡りが悪くなったもの)”を取り除く漢方薬や、気の巡りを良くする漢方薬などを用いて、毎週期きちんとリセットするように整えます。食養生なら、体に溜まり巡りを悪くするようなベタベタしたもの(甘いものや脂っこいもの)を控えることや、十分な睡眠を取って体がきちんとリセットできるようにすることが大切です。
⑧ 体温のガタツキが激しくギザギザしている
体温が全体的にギザギザガタガタしている場合、ストレスや睡眠不足の影響を強く受けてホルモンの分泌が安定していないと考えられます。また、“高プロラクチン血症”といい乳汁分泌を促すホルモンが過剰に分泌される方も、基礎体温のガタツキが強い傾向があります。
このタイプの方はストレスコントロールが大切です。東洋医学では“気(エネルギー)”の巡りを良くすることを重視します。気の巡りを良くする方法としては、睡眠、体の横側を伸ばすストレッチや、歌うこと、深呼吸すること、お手洗いに行くこと、軽い運動、好きな香りを嗅ぐことなどが挙げられます。動かしたり出したりする行為を意識しましょう。食べものなら、三つ葉やセロリなどの香味野菜や、みかんやグレープフルーツなどの柑橘類がおすすめです。
漢方薬は、気の巡りを良くしたり、プロラクチンの分泌を整えるためのものを使います。
1つ注意するべきことは、このタイプの方はちゃんと測れていないだけの場合があります。寝る時間が遅くなったり、起きる時間がバラバラだったりすると、ガタツキとして基礎体温に現れます。一度、基礎体温が乱れた時に確認することを確認してみてください。
⑧ その他のタイプ
高温期の途中で体温がストンと下降する日がある
高温期の途中で、カクンッと低温期くらいまでの温度に体温が落ちる方がいらっしゃいます。これは、黄体ホルモンの働きが不十分なことや、卵胞の発育がうまくいかず良い黄体が作られなかったことが考えられます。考え方は、高温期が短く12日未満の場合と同じです。
月経周期が短かったり長かったりバラバラ
月経周期が25日と短かったり40日と長かったり月によってバラバラの場合は、ストレスや睡眠不足、卵巣機能の衰えなどによりホルモンの分泌が乱れていると考えられます。
周期もバラバラで基礎体温のガタツキも激しいなら、ストレスが影響している可能性が大きく、ストレス対策が大切です。(詳しくは⑧ 体温のガタツキが激しくギザギザしているをご覧ください。)
ご年齢が高い、FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)の値が高い、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低いなどの場合は、卵巣機能の低下が考えられます。
漢方薬は、生殖や老化をつかさどる“腎”を元気にするものを使います。食べものなら、“腎”を養う黒いもの(黒きくらげ、黒ゴマ、黒豆、プルーンなど)がおすすめです。また、睡眠は一番のアンチエイジング。睡眠不足が続いている場合は注意し、最低でも日付が変わる前に休むことが大切です。
加えて、このタイプの方は一つ一つの周期を観察することも大切です。低温期と高温期のどちらの部分が長くなっているか短くなっているか、丁寧に確認することで細やかに対応できます。
まとめ
基礎体温の基礎知識、基礎体温のつけ方とポイント、基礎体温からわかることについてご説明しました。
基礎体温からは本当にたくさんのことがわかります。基礎体温から読み取れる情報を大切にすると、体のどこに負担がかかっていて、どのようなケアが必要かを知ることができます。
今の妊活をまた一歩前進させるために。ぜひ基礎体温をご活用ください。
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自分の妊娠力を知る上で、大変有益な方法は基礎体温を測定することです。 基礎体温からわかるのは排卵日だけではありません。 きちんと排卵しているか、ホルモンの状態はどうか、何が原因として考えられるかなど、基礎体温からはとてもたくさんの情報が読み取れます。