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前回、自分の卵子の質を予測する方法についてお話ししました。

では、自分の卵子の質に自信が無い場合はどうしたらいいでしょうか?
また、今自信があるなら、今後もその状態を保つために大切なことはなんでしょうか?

卵子の質を良くするというのは、2つの観点から考えることができます。
1つは“卵子自体の質”を良くすること、もう1つは“卵胞の質”を良くすることです。

現在、“卵子自体の質”を良くする方法は無いとされています。
なぜかというと、卵子自体の質とは卵子の若さとほとんど同じ意味だからです。
卵と卵子のお話し①女性は一生分の卵子を持って生まれるでお話ししたように、私たちは一生分の卵子を持って産まれ、一緒に年齢を重ねていきます。
そしてその間、“酸化ストレス”というダメージに晒され、卵子は少しずつ老化していきます。
10歳だった子供が9歳に若返ったりしないように、卵子も今のところ若返る方法はありません。
では、できることはないのかというとそうではありません。
卵子の老化を“できる限り遅くすること”これは非常に大切です。

2つ目の“卵胞の質”を良くすることはどうでしょうか。
卵胞とは、卵子を包み卵子に栄養を与えるお部屋のようなものです。
「卵が育ってきた」という表現を一度は聞いたことがあると思います。
これは、正しくは「“卵胞”が育ってきた」という意味です。
ここでは詳しくは説明しませんが、卵子が排卵されるためや卵子を採卵するためには、卵胞が22㎜程度の成熟卵胞に育つ必要があります。
先日、有名不妊治療専門クリニックの先生が「卵子に質が良い悪いはない、卵胞をしっかりと成熟卵胞に育てることが大切。」とおっしゃっていました。
卵胞が育たないことには排卵も採卵も不可能ですので、先生がおっしゃったことは一理あると思います。
そして、“しっかりと卵胞を育てる”ことはいつからでも取り組めます。

では、実際に卵子と卵胞の質を良くすること、つまり卵子の老化をできる限り遅らせて、しっかりと成熟卵胞を育てるために大切なポイントをご紹介します。

1.喫煙

2004年に発表された論文1) にて、喫煙者の卵胞液(卵胞を満たし卵子に栄養を与える液)中のβ-カロテンが、非喫煙者に比べて低下していたことが述べられていました。
β-カロテンは、酸化ストレスから細胞を守る抗酸化物質の1つ。これが喫煙者の卵胞液では少なくなっていたのです。
他にも、喫煙が体外受精での採卵数を減らすこと2) や、タバコの煙が受精や胚発生を妨げたり異常な胚を増やすこと3) などもわかっています。
つまり、喫煙していると卵子や卵胞が酸化ストレスに曝され老化しやすく、卵胞や受精卵が正常に育ちにくいのです。

「妊娠したらタバコをやめよう」では遅いのです。
卵を守るため、本人も周囲も喫煙しないことが大切です。

2.お酒

ご妊娠したらお酒をやめる方は多いですよね。妊活中はどうなのでしょう。
なんとなく良くないような気がするけれど・・・という方が多いと思います。

2004年に「女性の生殖能力に対するアルコール摂取の影響、18年間の結果」という論文4) が発表されました。
その研究は、スウェーデンに住む無作為に選ばれた7,393人の女性を18年間追跡し、1週間にアルコール140g(ビールだと500ml缶1本を毎日、ワインだと2杯を毎日)以上摂取する場合を多量、1週間にアルコール50g未満(ビールだと週に500ml缶を2本、ワインだと週に4杯程度)を少量、その間を中等量とし、生殖能力との関係を調べたものです。
結果は、アルコール摂取量と比例して不妊検査を受ける率が増加したというものでした。
アルコールを中等量摂取する場合を相対危険度1.0とした時、少量では0.65(0.46-0.92)、多量では1.58(1.07-2.34)となり、他の結果と合わせて、アルコールの摂取量が多いと不妊検査を受ける率が高くなること、不妊が疑われる場合はアルコールを制限する必要があること、が結論として述べられていました。

また、子宝漢方相談の場ではよく知られていることですが、よくお酒を飲む方の基礎体温表を見てみると、前の日に酔っぱらってしまう程のお酒を飲んだり、遅くまでお酒を飲んでいた場合、通常の体温より0.2~0.3℃程上昇するような傾向が見られます。
高めに出るということは、睡眠時に必要以上のエネルギーがアルコールを解毒するために使われているということ。これでは十分に卵を育てることができません。

以上のことから、お酒は嗜む程度が良いのではないかと思います。

他にも、甘いもの、脂っこいもの、食事、運動、ストレス、睡眠、漢方薬など、卵のためにできることがたくさんあるので、次回ご説明します。

(参考)

  • 1) G M Tiboni , T Bucciarelli, F Giampietro, M Sulpizio, C Di Ilio, “Influence of cigarette smoking on vitamin E, vitamin A, β-carotene and lycopene concentrations in human pre-ovulatory follicular fluid”, Int J Immunopathol Pharmacol, 2004, 17(3), 389-93.
  • 2) A El-Nemr, T Al Shawaf, L Sabatini, C Wilson, A M Lower, J G Grudzinskas, “Effect of smoking on ovarian reserve and ovarian stimulation in in-vitro fertilization and embryo transfer”, Human Reproduction, 1998, 13, 2192–2198.
  • 3) Junjiu Huang, Maja Okuka, Mark McLean, David L Keefe, Lin Liu,”Effects of cigarette smoke on fertilization and embryo development in vivo”, Fertility and Sterility, 2009, 92(4), 1456-1465.
  • 4) Jan Eggert, .Holger Theobald, Peter Engfeldt, “Effects of alcohol consumption on female fertility during an 18-year period”, Reproductive endocrinology, 2004, 81, 379-383.