滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2018年3月分をご紹介いたします。
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今月は、第195回『春眠暁を覚えず…~自律神経を整えて気持ち良く眠る~』です。
-以下、記事本文-
陽の光がぽかぽかと心地よい春になりました。
「春眠暁を覚えず」~有名な孟浩然の漢詩です。
春の夜は短い上に寝心地が良く、朝が来たことにも気づかず長く寝てしまう…。
暖かいと体は副交感神経が優位になるため眠りやすくなります。
春、つい寝坊をしてしまったり、なんとなく眠かったりするのはそのせいです。
このように、睡眠と自律神経の働きには深い繋がりがあります。
逆に、気温の変化やストレスがきっかけで自律神経のバランスが崩れると、眠れなくなってしまうこともあります。
東洋医学では、自律神経を司る臓腑を“肝”といい、自律神経の乱れによる症状は、肝を調節することを中心に対応します。
75歳の女性Mさんは数年前から睡眠薬を服用されています。
飲むと寝着けるが夜中に目が覚め、それから全然寝られないとのこと。他にも頭全体がズーンと痛くなり、あまり食事も進まず、やる気が起きなくなってしまわれました。
検査しても特に異常がなく、漢方薬をお求めになりました。
この方の不眠の特徴は、夜中に目覚めると意識がはっきりとしてしまうことで、肝の働きの乱れによって自律神経のバランスが崩れたと考えられました。
頭痛は、胃腸の冷えからくる水分代謝異常のようで、それぞれに漢方薬をお飲み頂きました。
一か月目には夜中に目覚めてもすぐに寝られるようになり、その後も経過はとても良好で、食事もおいしく食べられ、頭痛も治まり7ヶ月で漢方薬をやめることが出来ました。
この春は肝の働きを整えて「春眠暁を覚えず」を体験しましょうね。