滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2018年9月分をご紹介いたします。
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今月は、第201回『足が出ない、歩けない…~脊柱管狭窄症~~』です。
-以下、記事本文-
「今日は電車で来ました。駅からここまで来るのに信号で止まっただけです…」と嬉しそうにお話下さいました75才のKさん。
8か月前から来店頂き、ずっと車で送ってもらわれていました。
Kさんはしばらく歩いていると、しびれと痛みで足が出なくなり歩けなくなってしまうのです。
少し休むとまた歩けるという繰り返しで、間歇跛行(かんけつはこう)という脊柱管狭窄症の特徴的な症状をされていました。
腰部脊柱管狭窄症は加齢や腰椎すべり症、椎間板ヘルニア等による腰椎や靭帯の変形によって、脊髄の中で神経の通るトンネルである脊柱管が狭くなってしまい、神経が圧迫され血流が悪くなり発症します。
背骨を後ろに反らすと脊柱管が狭くなりますが、前に曲げると広がるため、前かがみになると楽になる場合が多いのです。
東洋医学では不通則痛(通じざれば痛む)、不栄則痛(栄養されなければ痛む)のとおり、まず気血水の流れの改善に努めます。
蒼朮、茯苓、防已など水分代謝を改善し、骨の代謝を良くする漢方薬、当帰、川芎、芍薬、地黄など血を補い関節を栄養する漢方薬、また瘀血を改善する薬方、弱った足腰を丈夫にする薬方など多くの薬方があり、症状や体質に応じて選ぶことが出来るため、長年のしびれや痛みなどの辛い症状もあきらめる必要はありません。
Kさんはミネラルや水分バランスを整え、骨の代謝を改善する漢方薬を中心に服用頂きました。
当初は効果が現われるまでに時間がかかりましたが、8か月の服用で、ずいぶん長歩きができるところまで良くなりました。
高齢なため予防も兼ねて続ける方がいいでしょうね。