滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2018年10月分をご紹介いたします。

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今月は、第202回『女性の悩みと漢方⑤~子宮内膜症~』です。

-以下、記事本文-

子宮内膜症にかかる女性は10人に1人といわれ、また、その割合は年々増えているといわれています。
店頭でも、子宮内膜症やそれによる生理痛、不妊症などで多くの方が相談に来られます。

子宮内膜症は、本来は子宮の内側にしか無い内膜が、卵巣や腹膜など、子宮の内側以外の場所で発生する病気です。
月経の度に増殖する内膜と血液が体外に排出されずに溜まることと、それによる炎症が問題となるため、漢方薬は、血流を良くするものや、老廃物を体の外へ出すもの、炎症を鎮めるもの、免疫力を高めるものなどを使って症状の改善を図ります。

40代のMさんは6㎝もあるチョコレート嚢胞(卵巣内に発生した子宮内膜症が袋状になったもの)でお悩みでした。
もともと、脳に血栓があり、血栓を悪化させる可能性がある低用量ピルを治療に使うこともできません。

漢方薬は、霊芝(れいし)製剤、水蛭(すいてつ)製剤、野菊花製剤などを中心に、血流を良くするものや、炎症を鎮めるものをお飲みいただきました。

2年が経ち、チョコレート嚢胞は2㎝まで小さくなりました。

子宮内膜症は治らない病気といわれます。
しかし、漢方薬でサポートさせていただく中で、手術しか無いと言われた方が手術をしなくてもよくなったり、内膜症が見当たらなくなったりすることも少なくありません。

漢方薬に秘められた力は奥深く、学びが深まるほど学ぶべきことが海のように広がります。
大海を渡る小さな船で一人ずつでも、病から救うことができればと思うばかりです

滋賀夕刊掲載【第202回】漢方薬のおはなし