滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2018年11月分をご紹介いたします。

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今月は、第203回『首、肩、腕の痛み、しびれ…~気と血と水と…~』です。

-以下、記事本文-

右肩から指先までしびれ、痛みがあり、毎日痛み止めを飲んでいるというSさん。
しびれ、痛みは3か月以上続いており、頸椎のヘルニアと言われて牽引や電気治療もされています。
還暦近くなり、今まで心身にかかってきた負担もあり、安定剤や降圧剤も服用しています。
その上鎮痛剤も一日3回飲まないと生活できないとの事でした。

頸椎ヘルニアは頸椎の椎間板が変形して飛び出し、神経を圧迫することにより起こります。
首の痛み、肩こり、軽い手のしびれ等から、首を反らす動きが制限されるようになり、腕や手に痛みが起こります。
進行すると手や腕の感覚が無くなったり、筋力が低下し握力が弱くなったりします。
場合により下半身にも症状が出現することもあります。

変形してしまった椎間板を元に戻すことは難しいのですが、漢方薬で気・血・水の滞りを改善すると、患部の代謝が良くなり、痛みやしびれの原因となる神経の流れが改善するため、つらい症状は消失するのです。
生薬には気剤、血剤、水剤があり、漢方の理論に基づいてそれぞれを配合し、漢方処方が出来上がっています。
このため症状や状態に合わせ、その方の必要とする薬方を選んで使用すれば非常に効果が高まります。

Sさんにも気の流れを良くして、水分代謝を整え、血を補い、血流を良くする漢方薬を服用して頂きました。
順調に経過し、7か月間の服用で、痛み・しびれとも無くなり、鎮痛剤も飲まなくても良くなりました。

気血水の流れには寒さと湿気が大敵です。特に患部は冷やさないように。冬の養生が一年の健康を作ります。

滋賀夕刊掲載【第203回】漢方薬のおはなし