滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2019年1月分をご紹介いたします。
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今月は、第205回『腰の痛み・しびれ、膝の痛み~ご高齢の方…~』です。
-以下、記事本文-
89才と高齢のHさん、何年も前から腰痛と両足のしびれがありましたが、何とか日常生活は送れていました。
2週間ほど前に車に乗るときにコクっとなり、それから痛みもしびれも段々ひどくなってしまいました。
骨粗鬆症の治療もされていますが、レントゲン検査では圧迫骨折とのこと。
元々寒い時期は痛みもきつくなっていたので、漢方の力も借りて何とかしたいと介助の方につかまっての来店です。
Hさんにはミネラルや水分バランスを整え、骨の代謝を良くする漢方薬、寒邪を除いて痛みを去る漢方薬等を飲んで頂きました。
3週目ぐらいから効果は現れ始め、その後は少しずつですが改善していき、10か月経つ頃には元々の痛みやしびれも感じなくなりました。
80才のRさんは股関節と膝の痛みでお悩みです。
健康のために散歩をしているが、痛みであまりできなくなってしまいました。
夜は寝返りもままならず、左を下にすると痛くて寝られないとのこと。
Rさんには血を補い血流を良くする漢方薬、水分代謝を整え、腎を補う漢方薬等を飲んで頂いたところ、2か月目に寝返りも大丈夫になり、半年程度で膝の痛みも随分楽になりました。
漢方療法は扶正(病の原因となる体の正気の不足を補うこと)と袪邪(病邪を取り除くこと)が原則です。
しかし、高齢者の場合、体力が弱く、持病がある場合も多いので、袪邪の為の漢方薬は注意して用いる必要があります。
漢方理論に則り、体に負担がかからないように薬方を選ぶことでつらい痛みも改善することが出来るのです。