滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2019年5月分をご紹介いたします。

 バックナンバーはこちら(お悩みの症状に関連する記事を検索していただけます。)

今月は、第209回『繰り返す慢性湿疹・・・~体が求める漢方薬~』です。

-以下、記事本文-

受験勉強のストレスから湿疹が出始め、一時は治まるも就職してまた湿疹が出てしまい、仕事でストレスがかかるとひどくなる事の繰り返し、現在は家族の介護が大変で湿疹が治らないと言われるMさん。
かれこれ40年程、慢性の湿疹でお悩みです。

お腹、背中全体がカサついた浅黒い肌で、ひっかいた傷跡がいくつもあり、痒みのつらさが現れていました。

ストレスの多い生活を続けられていたMさんは、過度の自律神経興奮が続き、血流が悪くなることで皮膚にも栄養充分な血液が行き渡らず、皮膚の免疫力が低下し炎症を鎮めることが出来なくなっているようです。

Mさんは漢方医学では肝気欝結と血虚・血熱という状態でそれぞれ疏肝解欝、補血・清熱の働きを持つ処方や生薬で対処しました。

2か月程でカサつきがずいぶん改善され、ひっかき傷もほとんどなくなり、漢方薬も8ヶ月で止めることができました。

3年前よりあごから首~胸にかけて痒みのある湿疹がプツプツと出ているTさん。
首筋から胸まで全体的に赤くなり、その中に赤い発疹がいくつもできて、見るからに痒そうです。

Tさんには湿疹の部位や状態から判断し、乾燥と湿潤の中間的な湿疹で少陽胆経の異常から実熱を持った証と考えられ、漢方薬をお飲み頂きました。

経過はとても良く2か月程度で首~胸の湿疹はほとんど治まり、その後3か月間お飲み頂きました。

皮膚の病は患部の状態をよく観察し、体の訴えを良く聞くこと、そしてその体が求めている生薬や漢方薬を選ぶ事が大切です。

滋賀夕刊掲載【第209回】漢方薬のおはなし