滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2019年7月分をご紹介いたします。

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今月は、第211回『気候に合わせる漢方薬~高温多湿は皮膚に大敵~』です。

-以下、記事本文-

先日、中国広州の清平生薬市場に行ってきました。
幾度となく訪れていますが市場の活気は相変わらずで生薬の吟味をしっかりと行ってきました。

ところで広州は緯度的には沖縄より南で亜熱帯気候です。
この時期は体に湿度の高い外気がまとわりつき、とても不快です。
そのかわりホテル等では冷房が効き過ぎ寒いぐらいで、中国の人々の健康が少し心配になります。

広州程ではありませんが、日本の夏もかなりの高温多湿で、当然体もその影響を受けます。

特にアトピー皮膚の方は皮膚の汗腺と皮脂腺からの分泌バランスが悪く、汗をかくことにより湿がたまり、さらに汚れもたまるため皮膚を刺激し、汗がたまる部位の湿疹が悪化します。
夏は湿潤性の湿疹に悩み、冬は乾燥性の湿疹に悩まされることになります。

中学生のKさんは幼児の頃からアトピー性皮膚炎で弱いステロイド軟膏等を塗り続けてこられましたが、最近は軟膏を塗っても治まりが悪く、体質から治したいとの事でした。

肘や足の関節、首筋、顔などにかさつきながらもブツブツの湿疹ができて、引っ掻いた後がたくさんあります。

Kさんは大元の体質に血虚があるため皮膚に十分な栄養が行き渡らず、新陳代謝が不活発で、皮膚の免疫バリアーも弱い状態です。
このため補血効果の高い漢方処方を中心に、夏と冬で皮膚や湿疹の状況に合わせて漢方薬を選びました。

現在飲み始めて2年になりますが、あまり気候にも左右されず、落ち着いた状態を保っています。

体質の病は時間がかかりますが、状況に合わせ根気よく続けることが大切です。

滋賀夕刊掲載【第211回】漢方薬のおはなし