滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2019年9月分をご紹介いたします。
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今月は、第223回『産後の神経症もアトピーも…~補血と活血が大切~』です。
-以下、記事本文-
先日、伝統漢方研究会の全国大会が大阪で開催されました。
漢方治療を真摯に志す医師、薬剤師、鍼灸師等からなる研究会で、毎年全国から一堂に会して学術大会を行っています。
大会のメインである論文発表は、漢方薬による治療例に年々進化が見られるため、漢方の新たな可能性を実感するひと時です。
今年の発表は不育症、認知症、非結核性抗酸菌症、正常眼圧緑内障などで、私も産後の神経症とアトピー性皮膚炎について発表してきました。
元々冷え性や排卵時の出血などの婦人科の不調と、アトピー性皮膚炎がある女性で、当店の漢方薬で体調が良くなり結婚、妊娠されました。
漢方薬はその時点でほとんど止められ、無事出産はされたのですが、出産後、神経症を発症してしまいました。
動悸や過呼吸に加え、出産したという事や家族の事が把握できないという解離症状です。
出産により気血が消耗し、瘀血が残るところに精神ストレスが加わり発症したと考えられ、補血、活血、理気健脾作用のある漢方薬を飲んで頂きました。
アトピーも出産後から再び悪化してしまい、顔から首にかけて赤み、痒みがひどく、手の平も湿疹があります。
おまけにこの方は漢方薬やサプリメント、スキンケア化粧品にもとても敏感で、アレルギーが起こらない様にように漢方薬を選ぶ必要があり、清熱、補血活血作用の漢方処方を飲んで頂きました。
神経症は六か月で改善し漢方薬を止める事が出来、アトピーも現在一年が経ちますが、赤み、痒みもなく良い状態が続いています。