滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2019年10月分をご紹介いたします。

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今月は、第214回『秋を楽しむ~漢方薬がお手伝い~』です。

-以下、記事本文-

今年の秋は寝坊でもしたのでしょうか、ずいぶん夏が長かったような…。
最近、足早に忙しなくやって来た秋、急に「秋らしい」お悩みを聞くようになりました。

秋らしいお悩みといえば、やはり「乾燥」のお悩みです。
夏場、あんなに悩まされた湿度は、この1か月でガクッと下がります。喉の乾燥によるイガイガや咳、お肌の乾燥によるカサカサ、かゆみ、吹き出物などの肌荒れ、また、粘膜の乾燥によってバリア機能が弱り、感染症にかかりやすくなることも問題です。

この場合、東洋医学では、まず肺(皮膚や粘膜、免疫などをつかさどる)の陰(潤い)を補うことを考えます。
具体的には、ユリの根である百合(ビャクゴウ)や銀耳(ギンジ)=白キクラゲなどをよく使います。

百合は、乾燥で喉がイガイガするときや、空咳が続くとき、話し続けて喉が枯れたときなどに使い、百潤露(ひゃくじゅんろ)に含まれます。
しっとり、喉に膜を張ってくれるような、飲み心地も良いのが特徴です。

銀耳は、最強の美肌食材といわれ、世界三大美女の楊貴妃も好んで食べたとされています。
お肌のアンチエイジング、免疫力のアップや、妊活の方にもおすすめで、艶麗丹(えんれいたん)などに含まれます。

季節ごとに変わる悩みには頭が痛くなりますが、日本の四季はとても美しく、私たちを満たしてくれるものです。
季節に合った漢方薬が、きっと四季を楽しむお手伝いをしてくれることでしょう。

滋賀夕刊掲載【第214回】漢方薬のおはなし