滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2020年3月分をご紹介いたします。

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今月は、第219回『全身の皮膚病…その2~尋常性乾癬もアトピーも~』です。

-以下、記事本文-

お腹や背中、足に五百円玉ぐらいの大きさの赤い湿疹が無数に出来ています。あまり痒みはないものの色々試しているが良くならないようです。
病院で尋常性乾癬と言われており、元々は30年以上前からですが、ここ一年位特にひどくなったとの事で来店されました。
乾癬はほとんどが紅斑で、尋常性乾癬に多い銀白色の鱗屑や角化は余り見られませんでした。

この方には血の熱を冷まし、解毒作用のある漢方薬、血を補う薬方、瘀血を改善する生薬や皮膚の免疫力を高める薬方などを煎じ薬でお飲み頂きました。
2か月程で赤味が静まってきて、4か月目には薄っすらと残るぐらいになり、その後もしっかりお飲み頂き結局1年少しで漢方薬は止める事が出来ました。

5年前から足に湿疹ができ、その後全身に広がり、お腹や腕、足に赤味のある湿疹がポツポツと出ています。
小さい頃からアレルギー肌との事。内服薬と塗り薬で痒みは治まるが、飲まないとすぐに悪くなるからと漢方薬をお求めになりました。

食事は油物が多く、お酒もよく飲まれます。
この方には肝胆系の気血の流れを整え、清熱解毒作用のある漢方薬、脾胃の働きを補い消化吸収を助ける薬方等をお飲み頂きました。
徐々に湿疹が出るのが減り、9か月目にはほとんど治まりました。

漢方医学では気血水、燥湿、虚実、三陰三陽、臓腑等の判断基準により漢方処方を選びます。それには体質や患部の状態を良く観察し、体が求めている処方や生薬を見極めることがとても重要です。

滋賀夕刊掲載【第219回】漢方薬のおはなし