滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2021年7月分をご紹介いたします。
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今月は、第235回『つら~い不眠~眠剤がないと寝られない…~』です。
-以下、記事本文-
若いころからずっと不眠傾向でした。
5年前に環境が変わることがあり、その時から眠剤を多く飲み、体の調子がガタガタになってしまったと言われる70歳のTさん。
安定剤の他にもサプリメントをたくさんお飲みで、漢方薬もいくつか飲まれたこともあります。
夜、寝つけないと朝まで寝られない、寝つけてもすぐに目が覚めてしまい、それからずっと寝られない、寝られた日があっても少しの事が気にかかり、またすぐ寝られなくなってしまうと言われます。
薬の副作用をとても気にされ、このまま続けているとダメになってしまうのではないかと心配な反面、減らしたら寝られなくなってしまう、寝られなかったらどうしようなどと一日中考えてしまうとの事で、漢方薬で何とかならないかとお越しになりました。
Tさんは気が塞がってしまい、発散の不足が考えられるため、天気の良い日はできるだけ外を歩き、入浴も汗が出るまで温まる事、やりたいことや好きなこと、昔やっていた趣味など何か楽しく集中できるものを始めてもらうようにお話をしました。
また安定剤の副作用に対して、心配し過ぎる傾向があるため、思い込みを減らすようにお話し、減薬には長い時間をかけて少しずつ減らすようにして頂きました。
漢方薬は詰まった気を開き、滞りを改善する薬方、痰熱をさまし、血を補い、脳の自律神経の興奮を鎮める薬方、補助として鎮静安神作用のある生薬のサプリメントも飲んで頂きました。
薬方は少しずつ変更しながら、一年以上の時間をかけていますが、安定剤はほとんど必要が無く寝られるようになりました。