滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2021年10月分をご紹介いたします。

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今月は、第238回『子宝の悩みと周期調節法㉙~不育症と着床障害~』です。

-以下、記事本文-

3回以上流産を繰り返した場合、不育症、良好な胚を繰り返し移植しても妊娠に至らない場合は着床障害と診断され、一般的な不育症検査のほか、着床日の診断、子宮内乳酸菌の状況、子宮内膜炎の有無等、様々な検査方法があり、必要に応じて、ヘパリン、アスピリン、タクロリムス、プレドニン、乳酸菌等、何らかの治療が開始されます。

ただ、中には重篤な副作用の可能性があるもの、効果が不確かなものもあり、不育症の60%以上が原因不明というデータ(「不育症管理に 関する提言 2021」より)等から考えると、現状は原因が分からず十分な治療方法が見つからないまま流産を繰り返す例が少なからずあるといえます。

子宮に受精卵が着床するまで、重要な役割であるホルモンやサイトカインを運ぶのは血液です。子宮に血液が充分にあり、滞りなく流れるためには、血を補い、気血の流れを良くすることが大切です。

36歳のKさんは、体外受精によって得られた、Aランクの胚を2回移植しても妊娠に至らなかったので、漢方薬の服用を考えました。唇の色が暗く、月経量が少なく塊もあるとの事。疲れやすく体調は良くないようです。
冷えを改善し、気血の流れを良くしながら、血を養う漢方薬で体質改善を目指しました。

あと1回だけ、移植に挑戦するとのことで、移植できるグレードの最後の卵を移植、無時妊娠、出産のご報告をいただきました。
様々な治療法があるうち、漢方薬の服用で気血の流れを良くし、子宮を血液に満ちた暖かいゆりかごにする方法も、選択肢のうちと思える例でした。

滋賀夕刊掲載【第238回】漢方薬のおはなし