滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2021年11月分をご紹介いたします。

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今月は、第239回『冬のアトピー肌、乾燥肌…~補血と清熱で改善~』です。

-以下、記事本文-

気温の低下とともに、空気の乾燥が強くなる季節です。
空気が乾燥すると皮膚からの水分蒸発が増え、潤いが無くなり乾燥肌になります。
また体温を保つために血管は収縮するので皮膚の血流は悪くなり、充分な栄養が行き渡らず、乾燥や皮膚の荒れが余計に助長されてしまいます。
体質的に皮膚の水分保持力が弱いアトピー皮膚の方が冬場に悪化する事が多い理由です。

漢方医学では乾燥肌質の方には地黄や当帰の補血薬で血虚を改善し、皮膚の栄養状態を改善することが大切です。
また血流が悪いと栄養も行き届かないため丹参、赤芍薬などの駆瘀血剤も必要になります。
さらに皮膚のバリアー機能が損なわれて炎症を起こし、赤味のある湿疹が出来ると黄連や山梔子などの苦寒剤で補血と同時に清熱することが必要になります。

小児期からのアトピー体質のOさん、湿疹がひどくなるとステロイド軟膏でコントロールされていましたが、最近は軟膏を塗ってもあまり治まらないとの事。
冬は乾燥から皮膚はカサカサになります。夏は湿気の影響で汗のたまるところに湿疹ができ、アレルギーもあるため一年中皮膚のトラブルで悩まされています。
長い期間繰り返していたため、皮膚の色艶もあまり良くありませんでした。

Oさんには補血と駆瘀血と清熱の働きのある漢方薬を選び、季節や症状で飲み方を調節し良好なコントロールが出来ています。
乾燥肌タイプは脂の代謝が悪いことが多いため、食事で質の悪い脂は極力控え、緑の野菜をしっかりとることが食養生の第一歩です。

滋賀夕刊掲載【第239回】漢方薬のおはなし