滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2022年5月分をご紹介いたします。

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今月は、第245回『繰返す排尿痛、残尿感、頻尿…~慢性の膀胱炎~』です。

-以下、記事本文-

75歳の女性Oさんは慢性の膀胱炎でお悩みです。
排尿後に痛みやむずむず感があり、何回もトイレに行く状態になり抗菌剤をもらって飲まれます。
一週間ほど抗菌剤を飲むと良くなるのですが、しばらくするとまた症状が出てくるという繰返しで、ほぼ毎月膀胱炎が起きています。
畑仕事が好きでへとへとになるまでしてしまうとの事、冷え性もあります。
この方には炎症を鎮める漢方薬や冷えを改善し疲労を防ぐ薬方で、膀胱炎を起こす間隔が3~4か月に伸びることが出来、さらなる改善を目指しています。

56歳の女性Kさんはトイレに行った後もすぐにまた行きたくなり、痛みはありませんがむずむず違和感があります。
検査では無菌性との事。
一年に何度も繰り返し、仕事中も尿意が頻繁に起こるため特にお困りです。
この方は元々体質的に虚弱な上にストレスからの心因的な影響も考えられた為、脾虚を補う漢方薬と安神作用のある薬方で改善することが出来ました。

繰返す慢性の膀胱炎は菌が原因する細菌性のものと、無菌性のものがあり、細菌性の場合は、冷えや疲労から菌に対する抵抗力が落ちている方が多いようです。
無菌性の膀胱炎では、ストレスやトラウマなどの心因的な事が大きく影響している事もあります。
また、原因がはっきりとわからずに膀胱に炎症が起きるものを間質性膀胱炎といいます。

漢方では頻尿、排尿痛、残尿感、尿白濁など排尿のトラブル症状を淋症といい、冷えや脾虚、腎虚、瘀血、気鬱など、その方の体質的原因を見極めて症状の改善に導きます。

滋賀夕刊掲載【第245回】漢方薬のおはなし