滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2022年8月分をご紹介いたします。

 バックナンバーはこちら(お悩みの症状に関連する記事を検索していただけます。)

今月は、第248回『更年期の悩み~加齢による体の変化~』です。

-以下、記事本文-

東洋医学では、女性は42歳を過ぎると、更年期の症状が少しずつ現れるようになり、49歳で閉経、その後さまざまな症状に悩まされるようになるという考え方があります。

閉経前後のめまい、ほてり、集中力低下、下半身の冷え、陰部掻痒、不眠などは、閉経による体の変化が原因であることが多く、介護、子供の受験期、旅立ちなどと重なり、さらに症状が重くなることも多いでしょう。

Sさんは、長女の里帰り出産の手伝いもあり、コロナ禍のストレスも大きく、気力がないとのことでした。
閉経して1年たち、何とか過ごせていたのですが、初めての出産のサポートに気力が付いていかず、眠れなくなってしまい、夜中のホットフラッシュもひどく、更年期の症状が顕著に出てきたとのことです。
顔はほてるのですが、足は冷えを感じるとのこと。

閉経により体の潤いが不足すると、いろいろ考え事をした時に生じる熱を冷ますことができなくなり、頭はのぼせたようになり、頭の熱によって、眠りが浅くなり、夜中も暑さで目が覚めるようになってしまいます。

この潤いの不足は、気が不足した状態のため、集中力や、気力もなくなり、下半身は冷えを感じます。

Sさんには、腎陰を補い火を鎮める働きの生地黄とともに、心を養い安眠に導く拍子仁、酸棗仁の入った漢方薬を中心におすすめしました。
徐々に、心が落ち着き、目が覚めなくなるとともに、気力が戻り、足の冷えも感じなくなってきました。

初孫の育児も無事終え、里帰りが終わるころは、にぎやかな毎日が楽しく、お別れは寂しかったとのこと。
楽しいと感じることができる毎日を過ごせるのは幸せだと感じた出来事でした。

滋賀夕刊掲載【第248回】漢方薬のおはなし