滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2023年6月分をご紹介いたします。
バックナンバーはこちら(お悩みの症状に関連する記事を検索していただけます。)
今月は、第258回『更年期の悩み~疲れ、不眠、頭痛、体がだるい~』です。
-以下、記事本文-
「とにかく、体がだるくて、やる気が出ない。毎日が辛い」
Ⅰさんは閉経してから気持ちが不安定になり、眠りが浅く、頭痛、めまい、動悸などに悩まされるようになりました。
更年期の症状は個人差があり、生まれつきの体質以外に、様々なストレス、食生活や睡眠の不摂生、足やお腹を冷やす服装、運動の有無などによっても違いがあります。
体が熱くなったり、寒気を感じて、手足の冷えを感じたり、体温の調節ができなくなる場合、めまいなどで悩む場合、寝つきが悪い、眠りが浅い、朝早く起きてしまうようになる場合、肩こり、頭痛、吐き気などの症状が年々悪化する場合、疲れやすくなり、体が重だるく意欲がわかなくなる場合などに分かれますが、これらの症状が同時に出てくることもあります。
Ⅰさんは、最初軽いホットフラッシュがあった後、家のリフォーム、親の介護などのプレッシャーで、夜に動悸がして息苦しくなり、眠れなくなりました。
最近は、時々めまい、頭痛もあります。
腎の陰が不足し、ストレスにより生じる肝火、心火を抑えることができなくなり、不眠、動悸、息苦しさが出てきた状況です。
体が熱いので、つい、冷たいものを飲食することが増え、水分代謝が悪くなり、めまい、頭痛、体の重だるさにつながったのです。
Ⅰさんは、肝血を養う、酸棗仁、心を養う、遠志、拍子仁、腎陰を補う地黄、脾を補い水分代謝を良くする、沢瀉、茯苓、を含む漢方薬を服用しはじめました。
不眠、動悸、息苦しさが和らぎ、めまい、頭痛がほとんどなくなり、体が楽になるとともに、意欲がもどってきました。
「愚痴が減ったと家族から言われる」明るく笑いながら話されるようになりました。