滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2023年7月分をご紹介いたします。

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今月は、第259回『やっかいな慢性蕁麻疹…~漢方でしっかり対処~』です。

-以下、記事本文-

36歳のMさんは10年以上前から蕁麻疹の痒みで大変困っていました。
抗アレルギー剤も飲んでいますがなかなか治まらないようです。

不眠の傾向もあり、夜中に目が覚め夢も良く見ます。
仕事のストレスからあまりやる気が起きず鬱傾向になり、眠れない時やお酒を飲んだ時は特に蕁麻疹がひどくなるとの事で悪循環に陥ってしまいました。

Mさんは肝臓の解毒代謝機能と自律神経系に問題があるようで、肝の気血を補い、疏泄作用を高め、気血の流れを改善する漢方処方を二剤選びました。
服用後、ひと月目で良く話をされるようになり、蕁麻疹も出ない日があるとの事。
その後、しばらくはお酒を飲むと出ましたが、半年ほどで夜も眠れるようになり、精神的にも調子良く、蕁麻疹も治まりました。

39歳のKさんは一か月前から腰から下に蕁麻疹が出て、抗アレルギー剤を服用中です。
以前も何回か蕁麻疹が出る事はあったが、ここまでひどくはなく、夜もかゆみで寝られない事があり漢方薬も飲みたいという事でした。

Kさんには袪風化湿・清熱解毒の働きのある漢方薬を選びました。
服用ひと月程はとても良い経過でしたが、その後また全身に出てきてしまい、宣肺利水・消腫の漢方薬に変更しました。

2か月の服用でほぼ蕁麻疹は治まったのですが、お正月前後にまたひどくなり、補血潤燥・止痒の効果のある処方に再度変更し、その後5か月の服用で治まりました。

イラクサ(刺草・蕁麻)の葉に触れると痒みのある発疹が出来る事からその名前が付いた蕁麻疹。やっかいな慢性蕁麻疹も漢方薬でしっかり対処する事が可能です。

滋賀夕刊掲載【第259回】漢方薬のおはなし