滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2024年2月分をご紹介いたします。

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今月は、第266回『月経不順、無月経、不正出血~ポイントは腎を補うこと~』です。

-以下、記事本文-

東洋医学では、「腎は生殖を主(つかさど)る)」と考え、月経の悩みを、腎の弱りと捉えて対応する場合があります。

30代のIさんは、今まで一度もきちんと月経が来たことがなく、ここ数年はずっと不正出血が止まりません。
婦人科でピルをもらい、飲んでいる間はよいのですが、やめるとすぐに出血がはじまります。

Iさんは、腎を補う漢方薬を中心に、胃腸を元気にする漢方薬と、気血を補う漢方薬を服用しました。
1年ほど経ったころから一カ月のうち半分は出血しなくなり、もう半年ほどで月経周期が整いはじめ、基礎体温も二相性に分かれて、排卵が見られる周期が出てくるようになりました。

大学生のKさんは、初潮から月経不順で、ひと月に二回月経が来たり、三カ月以上月経が来なかったりし、婦人科を受診して多嚢胞性卵巣症候群と診断されました。

Kさんは、腎を補う漢方薬と、老廃物の排出を助ける漢方薬や血の巡りをよくする漢方薬を服用し、一年ほどで、排卵を伴う月経が、月に一度定期的に来るようになりました。

10代のNさんは、二年前に初潮が来てからずっと出血が止まらず、量も多く貧血気味で、ほぼ毎日下腹部痛があり、痛み止めが手放せません。

Nさんは、腎を補う漢方薬に、気を巡らせる漢方薬と気血を補う漢方薬を合わせて服用し、半年ほどで出血の頻度も腹痛も半分以下になってきました。

腎は老化とも関係し、腎が弱いと老化しやすいと考えます。月経不順を放置せずきちんと対応することで、エイジングケアにもつながります。

滋賀夕刊掲載【第266回】漢方薬のおはなし