滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2024年5月分をご紹介いたします。

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今月は、第269回『ひざが痛い!~漢方薬で鎮痛剤にさよなら~』です。

-以下、記事本文-

左ひざの痛みが悩みの65歳のKさん。
1年ぐらい前から段々痛くなってきました。
立ち座りが痛み、階段では手すりを持ち一段ずつしか昇り降りできません。
仕事や家事に支障があり、何とか楽にならないかとのことです。

ひざ痛の多くは変形性膝関節症で、これは関節軟骨が老化し弾力性を失い、長年の使用や使い過ぎから関節軟骨が擦り減り、関節の変形を起こします。
加齢に加え、肥満や家系的なものも関係します。
また靭帯や半月板損傷などの外傷の後遺症として起こることもあります。

初期は立ち座りや歩き初めの時に痛み、休むと痛みはなくなりますが、進行すると階段の昇り降りや正座が出来なくなります。
さらに安静にしていても痛み、歩行が困難になってきます。

Kさんも変形性膝関節症と言われ、湿布薬を貼り、鎮痛剤を飲んでいますが、胃が強くないので飲みたくはないようです。

東洋医学では痛みに対しては不通則痛、不栄則痛の原則があり、痛みを起こす原因である気、血、水の不足や滞りを改善することが大切です。
また、薬方に関しては症状と体質から陰陽虚実を判断して選ばないといけません。

Kさんには最初は痛みが強いため、風湿の邪を去り、炎症を抑える薬方と水分代謝を改善する薬方を選びました。
痛みが少し楽になり、湿布も鎮痛剤も要らなくなった2か月後からは、血を補い血流を改善する薬方も選び、半年経つ頃には階段の昇り降りも不自由なく、仕事も家事も随分楽になりました。
この頃は旅行に行くことも大丈夫だと楽しそうに話される様子が印象的です。

滋賀夕刊掲載【第269回】漢方薬のおはなし