このところの蒸し暑い天候で体調を崩される方が多いようですね
東洋医学では湿邪といいますが、体の中にも普段から湿気をため込んでいると
湿邪の影響を受けて体調を崩しやすくなります。
湿気(余分な水、むくみ)が体に溜まると、熱を発散できなくなり、体に熱がこもりやすくなります
そして、重だるさ・頭痛・むくみ・めまい・食欲不振・軟便・下痢・など、夏バテの症状に繋がります
この時期は余分な湿気をためないことが大切です。
冷たいジュース、アイス、スイカ…夏の食べ物の摂り過ぎにはご注意を。
お風呂はシャワーで済ますより、湯船に浸かってサッと汗をかくのが良いです
エアコンによる冷えも改善できますしね。
熱中症には注意して、週に一度はジワッと汗をかけるくらいの運動をするのがおすすめです。
体調崩すことなく、不快なこの時期を乗り切りましょう

今回は不安感、動悸、息苦しい、しんどい…という方の ご紹介です

37歳、女性

毎日不安感があり、動悸がして息苦しくしんどいと来店されました。
数年前から症状はあるも、しばらく治まっていたのがまたぶり返したとの事。
子育て、家事に追われる生活で、のどがつまる感じもあり、めまいもあります。
お話しをお聞きする中で、几帳面で完全主義的な性格の半面、人にはとても優しくしなくてはいけないという義務感をお持ちのタイプのようでした。
この方には気のつまりを解き、滞った気の流れを改善する漢方薬と不安定な気持ちを落ち着ける漢方薬をお飲み頂きました。
一カ月で少しましになった感じがあり、落着いて考えられるようになってきたとの事。
2カ月目にはとても調子が良くなり、結局5カ月間の服用で漢方薬はやめることが出来ました。
(ボテジャコ掲載)

~~ちょこっと漢方薬のお話 「こころの漢方薬」~~

精神神経系に使う漢方薬に桂枝加竜骨牡蛎湯があります

その名の通り桂枝湯に竜骨、牡蛎を加味したものです
桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草、竜骨、牡蛎

出典は金匱要略 血痺虚労
夫失精家少腹弦急陰頭寒目眩髪落脈極虚芤遅為清穀亡血
失精脈得諸芤動微緊男子失精女子夢交桂枝加竜骨牡蛎湯主治
(失精しやすい者は下腹部が引きつれ、陰茎の先が冷え、めまいがし、毛が抜け落ちる。脈は極めて虚し、芤遅で下痢し、貧血する。失精の脈は短く動いて少ししまっている。男子は精をもらし、女子は夢に交わるようになる。桂枝加竜骨牡蛎湯が主治しする。)

方意は桂枝湯証(気の上衝=桂枝甘草、表寒虚証)に竜骨牡蛎の証(動悸、驚狂、煩躁、失精、不眠)の加わったもので
神経症、不眠症、心臓神経症、性的神経衰弱、円形脱毛症、夜尿症、夜泣き、バセドウ病、統合失調症…
などに応用できます
桂枝湯についてはこちらを
竜骨と牡蛎についてはこちらを

桂枝加竜骨牡蛎湯は右脳優位型の水毒タイプです。
空気を読むのが早く、気が利き、廻りを明るくするような感じです。心配性で、潔癖、ちょっと天然…

桂枝加竜骨牡蛎湯に似ている薬方に
桂枝甘草竜骨牡蛎湯があります
これもその名そのもので
桂枝、甘草、竜骨、牡蛎 の4味 (桂枝加竜骨牡蛎湯よりもそれぞれの薬味の量が多いです)
出典は傷寒論で、焼針の誤治で煩躁するものへの薬方として出ています。
方意は桂枝甘草+竜骨牡蛎の証で 気の上昇、動悸、驚狂、煩躁に使い、効き目はシャープです。
心臓神経症からの動悸に桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝甘草竜骨牡蛎湯も半夏厚朴湯と使うことが多く、神効を得ます。

似ている薬方にもう一つ、竜骨湯があります
外台秘要の出典で
桂枝、甘草、竜骨、牡蛎、茯苓、遠志、麦門冬、生姜
桂枝甘草、竜骨牡蛎の証に健忘などにも使える感じです。

桂枝甘草と竜骨牡蛎の上記3方ですが、糸練功の腹診で
桂枝甘草証は、臓腑の心でとらえられ
牡蛎は臍上動悸
竜骨は臍下動悸
でよくわかります。


(金匱要略より)