木之本は25日まで地蔵縁日です。
コロナで露天商の出ない年もありましたが、昨年から復活しました。
以前は夏の終わりの風物詩で、縁日が終わると秋風が吹く…という感じだったのですが、
このところ縁日が終わっても暑い日が続くことが多いです。
今年はどうなんでしょうね
今回は、慢性の偏頭痛の方のご紹介です
41歳 女性
5年以上前から頭痛でお悩みの女性。ひと月に4、5回ひどい頭痛が起こります。
生理の前後とそれ以外にも痛みが起こります。
偏頭痛の薬も色々試されましたがどれも効かず、市販の鎮痛剤もしんどくなったりアレルギーがでたりであまり飲めません。
ひどい時は吐き気もあり、仕事も家事も何もできなくなり大変お困りでご相談です。
当初は胃腸の冷えに対する薬方で、頭痛の頻度は減ったのですが、頭痛が全く怒らないとはならず、
体質傾向から血虚、瘀血などのいくつかの原因も見受けられ、それぞれに対処するため漢方薬も数種類必要となりました。
元来の虚弱体質もあり、改善にはかなり長くかかりましたが、頭痛が起こらず元気に過ごせる月が多くなりお喜びです。
(ボテジャコ掲載)
~~ちょこっと漢方薬のお話~~
頭痛に使う漢方薬に桂枝人参湯があります。
人参湯(人参、白朮、乾姜、甘草)に桂枝を加味した薬方です
出典は傷寒論 太陽病下篇
太陽病外證未除而數下之遂協熱而利利下止心下痞鞭表裏不解者桂枝人参湯主之
(太陽病で外の証があるにも関わらず数回下しをかけたために、表(体表)の熱と裏(胃腸内)の寒にはさまれて下利が止らなくなり、心下部が痞えて硬くなった状態の者には表裏ともに解する桂枝人参湯が主治する)
方意は 脾虚、寒証の水毒(食欲不振、水溶性下痢)で、表の寒証、虚証(寒がり、手足冷え)、気の上昇(頭痛、心悸亢進)
陰証の頭痛にはこの桂枝人参湯と呉茱萸湯を用いる機会が多く、かなりひどい偏頭痛にも使います。
どちらも脾虚寒の上逆による頭痛なのですが
呉茱萸湯は胃の冷え
桂枝人参湯は腸の冷え
が原因します。
実際の相談では両証を持つ方もおられ、桂枝人参湯証の頭痛が出るときと呉茱萸湯の頭痛が出るときがあり、どちらかの薬方だけでは偏頭痛の起こる回数は減るものの、起こらなくなることは無いといった状況に陥ります。
慢性の偏頭痛で頻度も多く苦しまれる方は、いくつかの証があることも少なくなくありません。
桂枝人参湯の薬味の量をみると
人参湯は金匱要略が原典で、人参、白朮、乾姜、甘草とも各3両(約3g)ですが
桂枝人参湯は 人参、白朮、乾姜 各3両、甘草4両、桂枝4両(約4g)と
急迫症状を緩和する働きのある甘草が増量されています。
吉益東堂は類聚方において
人参湯:治心下痞鞭小便不利或急痛或胸中痺者
桂枝人参湯:治人参湯証而上衝急迫劇者
と述べています。
湯本求真は皇漢医学において
表裏の二証合併せしものとも云い得るべく、又陰陽の二証混淆せしものとも稱し得るものにして
表に熱あれども裏は寒なるものなれば之を確認するにあらざれば本方は軽用すべからず
と述べています。
糸練功による腹診では
心下痞(鞭)の補で人参
臓腑の心の瀉で桂枝甘草
胃内停水の補で白朮
また、西洋解剖学の腸の位置で寒
をとらえることが出来ます。
(腹證奇覧翼/和久田叔虎より)
23日の夜