夏風邪の後、鼻と痰が治りにくい…【漢方改善例】

庭に西洋人参(木)があります
成長がとても早く、2~3か月で倍ぐらいになります
先日ハガリ屋さんに来てもらって、庭の剪定を…
身長ぐらいに伸びていたのが、とてもコンパクトに…
今、開花期で紫色の小さな花がたくさん咲いていたのですが
あれよあれよ…と一本だけに…
西洋人参の根は元気を補い、体の潤いも増してくれる働きがあります
夏におすすめの生薬です

ということで

夏風邪のあと粘った鼻と痰が治りきらないという50代の男性のご紹介です

夏風邪をひかれ、風邪自体はそうひどくはならず、お仕事も休むことなくできていました。
ほぼ体調は戻ったのですが、なんとなくすっきりしない感じがあり、粘った鼻が出るのと痰がからんで治りません
市販のせきと鼻の漢方薬を買って飲んだがならないと来店されました
風邪が治まってからは2週間ぐらいたっているとの事です
この方には糸練功で確認し、まだ少陽の虚熱があると考え、滋潤作用で粘り気を薄め痰を切れやすくする薬方と、脾気を補い虚熱を和する薬方を選びました。
漢方薬は1週間分のみですっかり良くなりました。

~~~~ちょこっと漢方薬のお話~~~~~

風邪の後、すっきりせず微熱が続くような状態に使う漢方薬に補中益気湯があります

出典は脾胃論(李東垣=りとうえん)

薬味は 黄耆、人参、白朮、当帰、陳皮、大棗、甘草、柴胡、乾姜、升麻

処方の名の通り、中(=おなか=脾胃)を補い、気(元気)を益す という働きの薬方で、別名 医王湯とも云います
脾胃を補い気を益す人参と、肺を補い気の漏れを防ぐ黄耆で、この二つは補薬の長と言われます(いわゆる参耆剤)
それに、血虚を補う当帰、少陽の虚熱に対する柴胡、脾胃の機能が低下し沈下しているのを(中気下陥)升提する升麻の組成です

柴胡剤でもあるため
大柴胡湯-小柴胡湯-柴胡桂枝湯-柴胡桂枝乾姜湯-加味逍遙散-補中益気湯
の順で実→虚証になります

応用は
虚弱体質、疲労、病後の体力増強、脱肛、子宮胃垂、慢性肝炎
感冒や気管支炎、風邪の後の微熱、慢性の腫物 など
他の薬方との加味、合方により幅広く使うことが出来ます

加味:+赤石脂(=赤石脂湯)
+赤石脂、川芎、白芷、黄連(=提肛散)
+五味子、麦門冬(=麦味益気湯)
+芍薬、茯苓(=調中益気湯)
+人参(大)、+当帰(浅田流)

夏バテの漢方として有名な清暑益気湯の薬味は
黄耆、人参、白朮、当帰、陳皮、黄柏、甘草、麦門冬、五味子
ですが、補中益気湯に五味子、麦門冬を加えた麦味益気湯が近い処方になります
清暑益気湯が手に入らないときは補中益気湯+麦味参顆粒で代用できます

ところで
浅田宗伯は勿誤薬室方函口訣に於いて
此ノ方ハ元来、東垣ガ建中湯、十全大補湯、人参養栄湯ナドヲ差略シテ組立テシ方ナレバ、後世家ニテ種々ノ口訣アレドモ、畢竟小柴胡湯ノ虚候ヲ帯ブル者ニ用ユベシ。補中ダノ益気ダノト云フ名義ニ泥ズムベカラズ。
其ノ虚候ト云フモノハ
第一手足倦怠
第二言語軽微
第三眼勢無力
第四口中生白沫
第五失食味
第六好熱者
第七当臍動気
第八脈散大而無力
等、八症ノ内一二症アレバ此ノ方ノ目的トシテ用ユ。其ノ他~~~~
と述べています。

いわゆる古方と後世方の折衷派といわれる浅田宗伯ですが、
「古法を主として後世方を運用すべき事」
という理念が良く現れていて面白いです…


(勿誤薬室方函口訣/浅田宗伯より)