婦人体温計のメモリを見てみると、普通の体温計よりとても細かい体温まで測れるようになっているのがわかります。
それは基礎体温が0.05℃の違いでもとても大切なことを 教えてくれるからです。
そして基礎体温はちょっとの不注意でも大きく違ってきてしまいます。
計り方の大事なポイントは下の通りです。
- 朝起きたら、なるべく体を動かさず、すぐに測定する
- 睡眠時間は5時間以上取れるように(こうしないと正確な基礎体温が測れません。)
- 朝同じ時間に測定する(睡眠時間のブレは基礎体温のブレになります。ずれたとしても1時間以内に。)
- 3周期以上の記録を残す
以上のことが守れなかったときや、体調を崩しているときなどは、なるべく細かく情報を備考欄に書いてください。(オリモノ、風邪、睡眠不足、飲酒、下痢、胸の張り、下腹部痛など)
まずは、健康な女性の基礎体温を図で示します。
正常な基礎体温にはいくつかのポイントがあります。
- 月経周期は26~35日で安定している
- 月経期間は5~7日
- 低温期、高温期に分かれ、きれいな二層性であること
- 排卵期後2~3日でスムーズに高温期に入り、高温期は安定して12日以上あることが望ましい
- 低温期は36.3℃ぐらいで安定して推移し、高温期と低温期との差は3℃以上5℃未満が望ましい
- 月経期はすぐに体温が下降する
基礎体温は、風邪など何かの病気になったりしない限りは、だいたい0.3~0.5℃の間で月経周期に合わせて変化します。
卵胞が育つ月経周期の前半は低温期とよばれ、その体温は36.2~36.3℃で推移します。この時、体温が高すぎると卵の質が悪くなってしまいます。
育った卵胞から卵子が排卵されると、空っぽになった卵胞(黄体)から黄体ホルモンが分泌され、その黄体ホルモンの作用によって体温があがります。
排卵後の体温はだいたい36.7~36.8℃くらいで推移し、これを高温期と言います。
体の内部になるほど体温が高くなるため、舌下で36.7~36.8℃くらいなら子宮内は約37℃で、妊娠・着床しやすい子宮内の温度も37℃くらいと言われています。
ですから、高温期に舌下で測った体温がしっかりと36.7~36.8℃あること、これが妊娠する上でとても大切です。
黄体は12~14日で寿命を迎え、黄体ホルモンも分泌されなくなるため、体温がスッと下がり月経が訪れます。
体温がスッと下がらないということは、古くなった黄体がずるずると残ってしまっていることになり、次の周期に影響を与えるため良くありません。
以下に9つの異常な基礎体温の例を挙げました。
※本陣薬局スタッフが1つ1つ手書きしましたため転載はご遠慮くださいませ。
例えば、グラフ①は低温期が長いタイプです。卵胞がうまく発育できないと、排卵までに時間がかかり、結果このように低温期が長くなります。中医学からみると、卵胞が発育するエネルギーとなる"気"や卵胞に栄養を与える"精血"の不足や、その巡りの悪さが考えられ、そこにアプローチする漢方薬をお選びします。
また、グラフ⑧は基礎体温が安定せず、ガタガタと波動が激しいタイプです(各期の中で0.2℃以上の温度変化を繰り返す)。これは、体の中のホルモン分泌が安定していないということなのでよくありません。ストレスがかかっていたり、体に熱がこもっていたりするとこのようになるため、漢方薬はストレスを和らげでホルモンバランスを整えるものや、体の要らない熱を取るようなものを使います。
ここに挙げたものの他にも、高温期の途中で体温がカクンと陥落するタイプや、高温期の途中で何回か出血してしまうタイプなど、様々なタイプがあります。
それぞれのお体の状態に合わせた漢方薬をお飲み頂くことが大切です。