尋常性乾癬
Psoriasis vulgaris
軟膏を塗っても変わりがない…病院で一生治らないと言われた…
半袖の服を着ることが出来ない…ポロポロと皮膚からフケのようなものが落ちる…
尋常性乾癬は罹患期間がとても長くなる皮膚病です。
特徴的な皮疹や、皮膚から落ちる鱗屑のため、人目が気になり、大きなストレスになります。
お悩みの方はどうぞ当薬局にご相談ください。
難治といわれる皮膚病も、漢方薬なら一時抑えでなく、根本的改善に導きます。
尋常性乾癬について
尋常性乾癬とは、皮膚に円形や楕円形の少し盛り上がった赤い発疹(紅斑)ができ、銀白色のフケの様な鱗屑が着き、それがはがれ落ちたりする慢性の角化性の皮膚病です。
ひじ、ひざの伸側など擦れやすい所や、頭皮、髪の毛の生え際に多く、おしり、腹部、背中等にも出来ます。
通常、皮膚の新陳代謝は表皮細胞が生まれてから剥がれ落ちるまで28日周期で行われていますが、尋常性乾癬になると表皮細胞の異常増殖が起こり、健康な皮膚の10倍以上の速さで表皮がつくられます。
そして過剰に作られた表皮が積み重なり剥がれ落ちていきます。
痒みはあることが多いですが、程度は個人差がありあまり強くないことが多いです。
以前は欧米に多く日本では少ない皮膚病でしたが、食生活の欧米化の影響もあるのか日本でも増えてきました。
尋常性乾癬の患者数は約50~60万人といわれ、人口200人に1人ぐらいの割合です。
尋常性乾癬の原因として多いのは次の三つです。
- 遺伝的要因
家族内での発症が多い傾向があります。 - 環境要因
ストレスや食事の不摂生、感染症、特別な薬剤、メタボリックシンドロームなど。 - 免疫学的要因
元々の免疫機構のバランスがくずれやすい体質や遺伝素因があるところに、環境要因が加わって発症する事が多いと考えられています。
尋常性乾癬と漢方の考え方
尋常性乾癬は皮膚の代謝が異常亢進した自己免疫疾患で、皮膚の状態は発疹、紅斑、浸潤、肥厚、鱗屑、角化等、様々な病変が見られます。
当薬局の漢方相談では、糸練功で現在の皮膚の状態から臓腑経絡、気血水、燥湿、陰陽虚実等を判断し漢方薬を選びます。
病位は少陽~陽明(~太陰)、中~下焦の血毒、燥~燥湿中間証の状態が多く、また、皮膚の状態だけでなく、全身的な体質も判断し考慮します。
糸練功については、詳しくはこちら 糸練功(しれんこう)とはのページをご覧下さい。
漢方薬は、
- 瘀血を改善する漢方薬
- 良質な血を補う漢方薬
- 血熱を冷まし、解毒作用のある漢方薬
- 臓毒を改善する漢方薬
- 殺菌作用のある漢方薬
- 免疫バランスを整える働きのある漢方薬
などの漢方薬を用いますが、それぞれに薬方はいくつかあります。
また、いくつかの要因が重なっている場合も多く、必要な漢方薬の種類と必要な服用期間を左右します。
漢方薬の働きで皮膚の状態や免疫バランスが整うことにより症状の改善に結びつくことが多く、是非お試し頂きたいと思います。
当薬局の症例
尋常性乾癬の再発 72歳男性
以前、漢方薬で尋常性乾癬が改善した男性。
近頃また乾癬が出てきて、だんだん範囲が広くなってきたとご来店です。
以前と同様に体幹部にプツプツと発疹が出ています。
痒みはあまりありません。
この方は前回、補血と清熱を中心とした薬方で調子よく改善したため、今回も同じ薬方を選びましたが、ひと月飲んでもあまり変化がなく、範囲も少し広がってきているようです。
そこで薬方を見直して中焦の瘀血を改善し、食毒の代謝改善の薬方に変更したところ、順調に経過し4か月程でほとんど改善しました。
今回は食事の影響などが大きかったのか、食毒の薬方が重要だったのでしょう。
また、再発しても早めにお越し頂いた事がよかったのだと思います。(ボテジャコ2021年9月掲載)
長年の尋常性乾癬 62歳男性
20年以上前から尋常性乾癬でずっと塗り薬で治療されていました。
一年前に仕事や家庭の事でストレスが大きくかかり湿疹がひどくなり、色んな治療も試されましたが一進一退とのこと。
乾癬の湿疹は赤みが強く、ポロポロと落屑がみられ、痒みはそれほど強くないもののそれが体幹部を中心に全身に出ていました。
この方には補血と清熱の漢方処方を中心に、活血、托毒排膿、解毒作用の生薬等の煎じ薬と大麦若葉の養生食をお飲みいただきました。
経過は非常に良好で、2ヶ月程で赤みが薄くなり始め、半年でかなり薄くなり、9ヶ月目にはほとんど湿疹はなくなりました。
しかし再発の可能性もあるため、根気良く続ける必要があります。(ボテジャコ2018年5月掲載)
やっかいな尋常性乾癬 65歳女性
元々20才台の頃にも出ていましたが、3か月前からひどくなってきたとのことです。
腹部を中心に体幹、足にも赤い乾癬の湿疹が一面に出ています。
とても範囲が多いのですが、尋常性乾癬はあまり痒みがないのが幸いです。
清熱補血の煎じ薬をお飲み頂きましたところ、効果は2か月ぐらいから少し赤みが薄くなってきました。
4か月目にはかなり薄くなり、半年ほどで色素沈着が薄く残るぐらいになり、10か月目にはほとんど見た目もわからなくなり、合計1年で漢方薬をやめることができました。
尋常性乾癬は再発することがありますが、その後も経過は良好です。(2018年9月ボテジャコ掲載)
尋常性乾癬 70歳男性
数年前から尋常性乾癬を発症し病院の治療で治まっていました。
ところが血液検査の数値が異常になってしまい、原因もわからず治療を続けられなくなり、乾癬が悪化してしまいました。
体幹部全体にブツブツと少し赤味のある発疹が出ています。
痒みはあまり強くはありませんが、掻きかけると痒いとのこと。
まず血熱をさまし補血効果のある煎じ薬を飲んで頂きました。
2か月程で赤味は治まり、発疹の範囲が小さくなりましたが、カサカサした乾燥状態がもう少し改善されないため、血虚に対する補血の効果を高めた薬方に変更したところ、皮膚の状態も順調に改善し、半年の服用で漢方薬は減らしながらやめることが出来ました。(ボテジャコ2018年11月掲載)
体中の発疹~尋常性乾癬~ 50歳男性
お腹や背中、腕、足などほぼ全身に2~6㎝程度の赤い湿疹がびっしりでき、痒みはあまりひどくなく、ステロイドの軟膏で少し治まるも忙しくて病院へ治療に行けないとのことでした。
病院では尋常性乾癬と言われています。
この方には駆瘀血剤、補血剤に理気剤や解表剤を組み合わせた煎じ薬をお飲み頂きました。
2か月程の服用で全身の乾癬をかなり消失することが出来ました。
しかし漢方薬を止めるにはまだ半年程度は必要で、病の勢いを完全に消すことが再発を防ぐ大切なポイントです。(ボテジャコ2020年2月掲載)
当薬局症例写真
滋賀夕刊掲載記事
滋賀夕刊に掲載した尋常性乾癬に関する記事(改善例など)をご紹介します。
【滋賀夕刊掲載記事】第131話 慢性の難治性湿疹…~血熱に黄連剤~
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