滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2012年11月分をご紹介いたします。
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今月は、第131回『慢性の難治性湿疹・・・~血熱に黄連剤~』です。
-以下、記事本文-
先日、恒例の伝統漢方研究会の全国大会に九州へ行ってきました。
例年中国の大学病院の教授を迎え、学術交流するのですが、今年は残念ながら来日がなくなったのです。
しかし年々研究会の学術レベルが高くなっており、支障はありませんでした。
また、今回は私も「慢性湿疹に対する黄連剤の使用例」について学術発表をしてきました。
黄連の薬用部位は根茎で、節状に珠が連なったように伸び、断面は鮮やかな黄色をしていることからその名がつきました。市販の漢方胃腸薬にも、苦味健胃薬としてよく配合されています。
漢方薬方では、血熱に対し清熱解毒の効があり、黄連解毒湯、半夏瀉心湯、葛根黄連黄芩湯などが繁用処方です。
Rさんは元々湿疹体質で、半年前から全身に湿疹ができ、特に両脚の脛は慢性化してこげ茶色の色素沈着があり、引っかいて所々出血し、見るからに痒みが酷そうです。
Rさんには黄連配合の清熱補血の働きの漢方薬をお飲み頂いたところ、二か月で痒みはおさまり、八か月でお薬をやめることが出来ました。
アトピーのNさんは、両足に難治性の慢性湿疹があり、数年間、色んな塗り薬や健康食品を試されましたが、何をやってもあまり良くなりませんでした。
赤黄色の湿疹からは体液が出て、乾燥するとバリバリになり、ジュクジュク、カサカサが混在しています。
Nさんは黄連配合の清熱滋潤作用のある漢方薬の一年の服用でほぼ完治することが出来ました。
黄連は早春に白い小さな花を咲かせますが、根の味は、花の可憐さからは想像できない苦さです。当に良薬口に苦しの生薬の一つと言えます。