滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2025年5月分をご紹介いたします。

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今月は、第281回『朝起きるのがつらい… ~現代病にも漢方薬で対策を~』です。

-以下、記事本文-

朝起きた時から胃のむかむか、腹痛、めまいが酷く、立っているのがしんどいという10歳の女の子。
酷いときは学校に行くことも困難になり、心配になっての相談です。
病院では「起立性調節障害」の疑いがあるとのことでした。

起立性調節障害(OD)は、自律神経のバランスが崩れることで、血液循環に乱れが生じ、めまいや気分の悪さ、立ち眩み、胃の弱りなど様々な不調が起こります。
起床時、午前中に症状が強い傾向にあり、不登校の原因に繋がる場合もあります。近年増加傾向にある厄介な疾患です。

東洋医学では、起立性調節障害を気の乱れや血の不足と捉えます。
気の乱れを解消することで、自律神経のバランスを整え、また血の不足を補うことで、血液循環を解消します。
また、一人ひとりの体質に合わせた総合的な体質改善も必要になります。

ご相談の女の子には、気の巡りを整える漢方薬と、体力を補い、お腹の調子を整える漢方薬を選びました。
服用開始1か月で腹痛やめまいが少し和らぎ、3か月後には全体的にかなり楽に過ごせるようになりました。
4か月目に入ると元気に学校に行けるように。
7か月時点で悩んでいる症状が全てなくなったとのことで、服用を終わることができました。

現代の生活環境は食の欧米化や過度な情報量が心身への大きな負担となります。
その結果、以前ではあまり見られなかった症状や疾患が増えていると言えます。
漢方は二千年以上の歴史を持ち、現在まで受け継がれてきた医学です。
体質をしっかり見極めることで現代の厄介な病にも十分対応できる強さがあるのです。

滋賀夕刊掲載【第281回】漢方薬のおはなし