滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2025年8月分をご紹介いたします。
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今月は、第284回『猛暑と男性不妊~体質改善で授かった命~』です。
-以下、記事本文-
今年の夏の暑さは、妊娠を望む夫婦にとって試練となりそうです。
夏は精子の質、数、運動率がすべて低下するとの報告もあります。
熱ストレスが精子に与える影響は大きく、注意が必要です。
男性不妊にはいくつかのタイプがあります。
精子の数が少ない「乏精子症」、動きが悪い「精子無力症」、形に異常がある「奇形精子症」です。
東洋医学では、それぞれ精子の生成源である「腎精」の枯渇や「脾虚」による気血不足、精子を動かす「陽気」の不足や「気虚」による全身のエネルギー不足、「湿濁」「湿熱」による炎症や血流の悪化などが原因と考えます。
Tさん夫妻は男性不妊が原因で、人工授精8回、体外受精を3回試みましたが妊娠に至りませんでした。
夫は精子数が約800万と少なく、痩せやすく夏に体重が落ちる「脾虚」の体質。
さらに「腎精」の不足が推測されました。
妻は精神的に不安定で寒がり、基礎体温の上昇が弱く高温期が短い傾向がありました。
夫には胃腸を助け腎精を補う漢方薬を、妻には気血を補いストレスを和らげながら、周期に合わせ低温期には「腎陰」を、高温期には「腎陽」を補う漢方薬を提案しました。
夏から服用を始め、普段の夏に比べて夏痩せも無く体調が良いまま冬を迎え、半年後の2月に再び体外受精を実施。
良好な受精卵を移植し、妊娠、元気な男の子を授かりました。
出産後も漢方薬を継続し、断乳後には自然妊娠し、無事に二人目を出産しました。
暑い夏に負けない体づくりが、妊活に取り組む夫婦にとって大切な一歩となると感じた出来事でした。









