滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2024年10月分をご紹介いたします。

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今月は、第274回『幾度の流産を乗り越えて~希望をつないだ漢方の力~』です。

-以下、記事本文-

猛暑続きだった夏が終わり、過ごしやすい季節がやってきました。
最近は、ご出産の報告をいただくことが続き、可愛い赤ちゃんの写真に励まされる毎日です。

妊活は、妊娠すればゴールだと思われがちですが、そうではない場合も少なくありません。
順調に出産までたどり着く人もいれば、流産してしまう人は全体の約15%にのぼり、中には、悲しい流産を繰り返す人もいます。

結婚後すぐに初期流産を経験されたAさんカップル。
その後なかなか授からないとのことです。

Aさんの検査結果は特に問題ありませんが、東洋医学的には気血(エネルギー)が不足し老廃物が溜まりやすい体質であり、排卵も乱れがちでした。
パートナーの男性にも大きな問題は見られませんでしたが、季節の変わり目に体調が崩れやすいとのことでした。

Aさんは、気血を補い老廃物の排出を助ける漢方薬を中心に服用し、体力の向上とホルモンバランスの安定を目指しました。

徐々に体調が整い、基礎体温が安定してきたころ待望の妊娠。
しかし、喜びも束の間、流産になってしまいました。

流産後は出血がなかなか止まらず、体調も不安定になり、何度もくじけそうになりながらも諦めずに漢方薬を続け、パートナーの男性も、Aさんの負担を軽減するため家事を分担し、季節の変わり目は漢方薬で体調を整えるようにしました。

一年後、再び妊娠、その後も体調を安定させ、赤ちゃんの成長を助ける安胎薬(あんたいやく)を続け、大きなトラブルもなく、無事可愛い赤ちゃんを授かりました。

長い妊活の末にやっと授かった命。それを失う悲しみは計り知れないものです。漢方薬が希望をつなぐ一助となれば幸いです。

滋賀夕刊掲載【第274回】漢方薬のおはなし