滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2024年11月分をご紹介いたします。

 バックナンバーはこちら(お悩みの症状に関連する記事を検索していただけます。)

今月は、第275回『ひどいめまい…~早めの漢方で不安解消~』です。

-以下、記事本文-

酷いめまいに悩まされていた60代男性のSさん。
起床時や就寝時、頭を動かす際にめまいを感じ、最近では症状の頻度が増して不安が募り、相談に来られました。

めまいには症状の現れ方によっていくつかのタイプがあります。
代表的なのは、視界がぐるぐる回る「回転性めまい」、体がふわふわして不安定になる「浮動性めまい」、そして立ち眩みなどでグラッとくる「起立性めまい」の3つです。

原因としては耳の三半規管や脳血流の異常が挙げられますが、東洋医学では、めまいの種類や体質を「陰陽」「気血水」の観点で捉え、体質改善を目指すことで症状の根本的な解消を図ります。

Sさんの場合は回転性と起立性のめまいが併発しているようでした。
体質や症状の出方をもとに、気の不足と水分代謝の滞りが原因で偏りが生じ、さらに内臓が冷えて疲弊していると考えられ、これらに対応する漢方薬を選びました。

服用から一カ月後、日中のめまいは軽減したものの、朝晩はまだ症状が残る状態でした。
二カ月目には随分と改善し、寝る前にわずかに感じる程度に。
四カ月目にはほとんどめまいがなくなり、現在は予防を兼ねて服用を続けています。

めまいは転倒や乗り物運転中の事故を引き起こすリスクがあり、脳血流の問題を考慮しても軽視できません。
病気の予防は早めの対処が肝心です。
少しおかしいと感じた際には適切な手を打つことが大切で、漢方薬での対処も有効な選択肢の一つです。

滋賀夕刊掲載【第275回】漢方薬のおはなし