(写真はまだ暑い頃、醒ヶ井の梅花藻です)
今年はもう秋が来ないのかと思ってました
やっぱり涼しくなるものですね
庭から秋の虫の声が聞こえるのですが
その中には、風流というよりも、生命力を感じさせるような大きな鳴き声の主が…
セミからバトンタッチされたようですね
今回は通年性アレルギー性鼻炎の60歳代の女性の紹介です
一年を通して鼻水、鼻つまりがひどくお困りです
数年前にコロナ感染をしてから段々ひどくなってきました
検査をされハウスダストや真菌などが原因のアレルギーと言われました
白っぽく薄い鼻水がでたり、鼻がつまったり、のどに降りる事もあり、くしゃみも良く出ます
糸練功でチェックし、アレルギー性鼻炎の反応で溢飲に対する漢方薬を選びました。
また体質的な反応では血虚体質で、アレルギー体質にも影響しているようで、補血の薬方も補助として選びました
ひと月目で少しましな感じがするとの事
次の月には鼻のつまりやのどに降りてくるのが楽になってきました
3か月目になりますが、大分楽に過ごせているとの事でお続け頂いています
~~ちょこっと漢方薬のお話~~
鼻水、咳、痰などに使う漢方薬に小青竜湯があります。
春の花粉症、アレルギー性鼻炎に良く使うため、とてもメジャーになりました
薬味は麻黄、桂枝、半夏、乾姜、芍薬、細辛、五味子、甘草
出典は傷寒論、金匱要略ともにあります
傷寒論太陽病中篇
傷寒表不解心下有水氣乾嘔発熱而欬或渇或利或噎或小便不利少腹満或喘者小青竜湯主之
/傷寒にかかり表が治らず、心下(みぞおち)に水気があり、からえづきし、発熱し咳が出る、また喉が渇くこともあり、或は下痢することもあり、或はむせるときもあり、或は小便の出が悪いこともあり、或は下腹が張るときもあり、或は喘する者は小青竜湯が主治する
傷寒心下有水氣欬而微喘発熱不渇服已渇者此寒去欲解也小青竜湯主之
/傷寒で心下に水気があり、咳をして喘し、発熱し喉が渇かないような者に小青竜湯を飲ませて喉が渇くようになったものは寒が去り解する前兆である、小青龍湯が主治する
金匱要略 痰飲欬嗽病
病溢飲者當發其汗大青竜湯主之小青竜湯亦主之
/溢飲を病んでいるものは当然発汗させるべきで大青竜湯が主治する、小青竜湯もまた主治する
欬逆倚息不得臥小青竜湯主之
/咳がこみあげ寄りかかって休み、横に臥することもできないものは小青竜湯が主治する
金匱要略 婦人雑病
婦人吐涎沫醫反下之心下即痞當先治其吐涎沫小青竜湯主之涎沫止之治痞瀉心湯主之
/婦人が薄い痰をを吐いているのを医者が之を下しをかけたために心下に痞えを生じた場合は小青竜湯が吐くのを止める、吐くのが止んだら瀉心湯で痞えを主治する
条文に傷寒とありますが、傷寒の病は表に邪を受けそれが裏まで影響を及ぼすもので、小青竜湯は表を散じ、心下の水をさばく働きです。
いわゆる水毒の咳や喘を発し、水っぽい痰や鼻水が出る時に用い、特徴はゼイゼイと薄い喘鳴、水っぽい薄い痰や水鼻が流れるように出ます
金匱要略の条文に溢飲者とありますが、溢飲とは水分が皮表に溢れて身体が疼重するものですが
浮腫、涙、鼻水、痰、小便、汗と応用できます
このため
鼻炎、喘息、気管支炎、上気道炎、気管支拡張症、肺気腫、肺炎、肋膜炎など
他に腎炎、ネフローゼ、関節炎… などに使う事もあります
条文には小青竜湯以外の薬方で、大青竜湯、瀉心湯が出てきますが、大青竜湯はまたの機会に…、瀉心湯はこちらを…
加味合方には
+石膏:小青竜湯加石膏
+石膏、杏仁:小青竜湯合麻杏甘石湯
+茯苓、杏仁
+柴胡剤、+二陳湯
などがあります
大青竜湯はまたの機会にと言いましたが、薬味は麻黄、桂枝、石膏、杏仁、生姜、大棗、甘草で麻黄湯と越婢湯を合方したような薬方です
小青竜湯加石膏、小青竜湯加杏仁石膏 になると薬味的には大青竜湯の方意に近づきます
アレルギー性鼻炎や花粉症では、近年の温暖化や夏の発汗不足、冬の暖房による内熱の蓄積、肉類や高脂肪食、緑色野菜の摂取不足などの様々な影響で、小青竜湯だけでは効果が悪く、加石膏、合二陳湯 など加味合方を使う事がとても多くなりました
また小青竜湯の話になると良く出てくるのが苓甘姜味辛夏仁湯で、陰陽の違いで小青竜湯の裏の薬方という言い方をします
薬味はその名の通り、茯苓、甘草、乾姜、五味子、細辛、半夏、杏仁
小青竜湯と比較すると
乾姜、五味子、細辛、半夏、甘草、麻黄、桂枝、芍薬
乾姜、五味子、細辛、半夏、甘草、茯苓、杏仁
小青竜湯から麻黄、桂枝、芍薬を去り、茯苓、杏仁を足したものです
このため表の寒証(悪寒、発熱、頭項強痛など)を発表する働きがなく、茯苓杏仁でより水毒に対しての効果が高くなっています
実際に使う時は小青竜湯を使いたいが、麻黄が使えない場合に出番が多いです
麻黄が胃に負担になる方や心負担になる場合です、薬味的には茯苓杏仁甘草湯の加味方とも言えます
苓甘姜味辛夏仁湯の金匱要略の条文では、
~血虚があるため麻黄を使い発汗して陽を発すると必ず手足が冷えてしまう~
とあり、苓甘姜味辛夏仁湯証は血虚があると述べられています
小青竜湯(陽)と苓甘姜味辛夏仁湯(陰)の二方の違いですが、糸練功を使えば臓腑診の肺の位置で麻黄の有無が簡単にわかります

(傷寒論・金匱要略/方術信和会より)



