滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2017年10月分をご紹介いたします。

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今月は、第190回『菊がきく!?~目の疲れ・めまい・子宮内膜症~』です。

-以下、記事本文-

「高尚」や「高貴」を花言葉に持ち、その優美な姿から多くの人に愛され、皇室の御紋章にも使用されている菊の花。
ちょうど見頃を迎え、全国で菊の花展や菊祭りが開かれています。
学生時代、校舎の近くで菊祭りが開かれたことがあり、自分の顔ほどもある大きな菊にとても驚きました。

そんな菊の花も生薬:菊花としてよく使われます。
中国杭州が名産地の、可愛らしい小さな白い花を咲かせる種類の菊で、疲れ目、かすみ目、老眼や、頭に血が上りやすい方のめまいに使う漢方薬に入っています。

野菊花という生薬もあり、菊花よりも花びらが少なく黄色い花を咲かせる種類が使われます。
こちらは、清熱解毒作用があり、ニキビや子宮内膜症など炎症の症状に使います。

50代のNさんは度重なるめまいがお悩みでした。
神経を使うお仕事柄ストレスが溜まりがちで、そういう時に症状が酷くなるとのことでした。

Nさんには、菊花が入った釣藤散をベースに漢方薬をお飲み頂きました。
3週間ほどで症状が改善し、現在は予防的な飲み方をされています。

30歳半ばのYさんは大きな卵巣チョコレート嚢腫があり、ピルによる閉経療法で3.5㎝になったもののそれ以上小さくならず、医師の指示で休薬することになりました。
野菊花の入ったものを服用したところ、休薬後のリバウンドも起こらず、1年後には2㎝ほどに小さくなりました。

日本では、解毒のためにお刺身に添えられることも多い菊の花。中国では長寿の花とされ、長寿祈願や邪気払いとして菊花茶や菊酒なども飲まれます。

滋賀夕刊掲載【第190回】漢方薬のおはなし