滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2017年7月分をご紹介いたします。

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今月は、第187回『極楽の花の種~レンニク(蓮肉)~』です。

-以下、記事本文-

盛夏の花、蓮(はす)。
池や湖に白やピンクの気品のある花が咲き、本当に美しいものです。

ご存知の通りその地下茎はレンコン(蓮根)で、秋冬の食材として、おせち料理にも欠かせません。
また蓮の果実も食用でき、中国の月餅には良く使われます。

ちなみに日本名の「はす」は、蓮の実の入った花床にたくさん穴が開いており、それが蜂の巣に似ていることから古くは「はちす」と呼んでいたものが略されて「はす」になったと云われています。

漢方では果実の果殻を除いた種子を蓮肉(れんにく)と云い、鎮静、滋養強壮、健胃、止瀉作用があるため、参苓白朮散、啓脾湯、清心蓮子飲などの処方に用います。

75歳のAさんは元来の胃腸虚弱で普段から軟便ぎみです。
食欲もあまり進まず、畑仕事もされてはいますが、すぐに疲れてしまい、疲れがひどくなると下痢になるとのことでした。

Aさんは典型的な脾胃気虚体質で、前述の漢方処方をお飲み頂きましたところ、飲んでいるととても調子よく、疲れにくく、便もあまり弛まないとのことで長くお続け頂いています。

36歳のMさんは数ヶ月前から頻尿傾向でお困りです。
仕事中に一時間も持たず尿意が起こり、それを気にするほどしたくなるという悪循環でした。

Mさんは神経を鎮め脾胃を補い、頻尿を改善する前述の漢方処方をお飲み頂きましたところ、数ヶ月の服用で改善し、廃薬できました。

蓮は仏教の花でもあり、仏像は蓮の花の台座に乗られている事が多く、極楽に咲く花ともいわれます。
お浄土の方々も普段から蓮子を食して元気に過ごされているのかも知れませんね…!?

滋賀夕刊掲載【第187回】漢方薬のおはなし