滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2022年9月分をご紹介いたします。

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今月は、第249回『手指のしびれ、痛み… ~流れを良くして改善~』です。

-以下、記事本文-

Eさんは1年半以上前から両手の中指から小指まで3本の指のしびれと痛みで困っています。
元々は10年ぐらい前より肩から腕全体にしびれがあり、段々範囲が狭くなってきたのですが、指先のしびれだけになってからは全然良くならないようです。神経痛とのことで痛み止めと湿布を使っています。

Mさんも両手の薬指と小指のしびれが2年以上前からあります。
ずっと細かな手作業をされてきて、ビタミン剤や鎮痛剤を使っていますが、この頃は徐々にひどくなってきたとの事。
指の曲げ伸ばしもしづらいときが出てきたようです。

二人とも高齢で、雨の日や寒い日になると症状が余計にひどくなります。

東洋医学では痛みやしびれに対しては「不通則痛」「不栄則痛」と言い、気血水の流れが阻害され組織が栄養されないことが原因であると考えます。
また雨や寒さは寒湿の邪で、気血水の流れを悪くする一番の環境要因となります。

これに対して漢方薬は血滞や水滞を改善するために駆瘀血剤や利水剤、そして風湿や寒湿の邪を駆逐して止痛効果のある散寒去湿剤などを使います。

手指の症状の場合は頸椎の変形からの影響も多いため、関節に対する漢方薬が必要な場合もあります。
Eさん、Mさんともその頸椎からの影響も考えられました。

漢方薬は駆瘀血剤の煎じ薬や、利水剤などそれぞれに薬方を選び、数か月で徐々に改善してきました。

加齢からくる骨や関節の弱りもあり、症状が起きてからの期間も長いため時間はかかりますが、あきらめないで続けることが大切です。

滋賀夕刊掲載【第249回】漢方薬のおはなし