滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2021年5月分をご紹介いたします。
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今月は、第233回『痛み、しびれの大敵…湿の邪~ジメジメ、ジトジト~』です。
-以下、記事本文-
冬に雪どけをしてから左腕が痛いとお悩みのKさん。
痛くて肩より上には腕を上げられず、夜は痛みで起きてしまう事もあります。毎日湿布を張り、痛み止めを飲んで仕事をしていらっしゃいます。
Kさんには散寒止痛、補血、活血等の働きのある漢方処方を選びました。雨の日やジメジメした日は痛みがぶり返すことがありましたが、3か月目にはほぼ改善しました。
Eさんは数年前から体中がピリピリとしびれて痛むとお悩みです。
ひじ、ひざ、肩や股などの関節の他にも太もも、うで、顔面も痛む時があるとの事でした。
病院で検査するも特に異常はないのですが、天気によって痛みがひどい時とあまりひどくない時、起きない時があります。
この方には補血、活血、袪風湿、健脾利水等の働きのある漢方処方を選んだところ順調に改善し、8か月の服用で漢方薬をやめることができました。
痛みやしびれに対し漢方医学では「不通則痛」「不栄則痛」~気血の流れが通じないと痛む、組織が栄養されないと痛むという原則がありますが、大きな悪化要因が寒(冷え)と湿(湿気)の邪です。
今年は例年になく早い時期から梅雨入りしてしまいましたが、この時期のジメジメした湿気が神経痛、関節痛、リウマチなどの痛みやしびれには悪影響です。
また元々胃腸の弱い方は、身体に溜まった水毒の代謝が悪くなり、痛みやしびれが慢性化しやすくなります。漢方薬でも健脾利水の働きが重要となりますが、冷たい水分を控え、腹八分目の食事という基本的な養生も見落としてはいけません。