滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2019年11月分をご紹介いたします。
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今月は、第215回『頸椎ヘルニアからのしびれ…~漢方処方は質が大事~』です。
-以下、記事本文-
9月末、韓国ソウルの生薬市場である京東薬令市場の視察に行ってきました。
中国の大きな生薬市場等と比べると規模は小さいながらも、卸売、小売店、クリニックなどが軒を並べ、生薬も非常に充実しています。
驚いたのは生薬の質で、全体的にとても安定していました。
人参は本場なので言うに及ばずですが、漢方処方の多くに使われる桂枝(ケイシ)も中国でもなかなか見られない質の良いものがありました。
桂枝には発汗、止痛、利水、温通、鎮静作用があり、風邪や関節痛、婦人病などの漢方処方に頻用されます。
桂枝の働きは処方の中で重要で、その質が問われる生薬です。
10年以上前から手のしびれでお困りのTさん、病院のMR検査で頸椎ヘルニアと言われ、首の付け根から肩にかけて痛だるさがあり、右指がしびれています。
マッサージや体操も効果が無く、症状は悪化する事もあるとのこと。手術はしたくないからと来店されました。
Tさんには桂枝を含み頸椎関節の水分代謝を調節し、ミネラルバランスを整え気血の流れを改善する煎じ薬を選びました。
効果はとても早く、3週間目で楽になり、3か月目には草刈り等の作業をしても悪化することなく、半年間の服用で痛み、しびれともなくなりました。
桂枝はクスノキ科ケイ(肉桂)の若枝ですが、日本では樹皮の桂皮(ケイヒ)を使う事が多く、桂皮は産地により働きが少し違います。
この為煎じ薬では症状や目的に応じ使い分け、効果をより高める事が出来ます。