滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2019年12月分をご紹介いたします。
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今月は、第216回『子宝の悩みと周期調節法㉒~大切なのは陰陽の調和~』です。
-以下、記事本文-
10月上旬、中国南京で開催された「不妊症難病及び婦人科難病の中医国際シンポジウム」に出席しました。
不妊周期調節法の大家である国医大師「夏桂成」先生の90歳の集大成でもあるとのことです。
講演では、女性の月経周期と陰陽の変化などについて話されました。
陰は水、月、ホルモン、オリモノ、卵胞、血であり、陽は火、太陽、気、などです。
「陰陽の調和が崩れると病気になる(妊娠に至らない)。陰と陽との関係は周期に合わせ変化しながら平衡を保つことが大切である。」ということから、排卵期の調節の大切さ、睡眠の大切さ、自然との調和の大切さなどに触れられました。
陰は、貝、きくらげ、レンコン、山芋、豆、梨などの食材、地黄処方などにより育ち、陽は、牛肉、いわし、まいたけ、ねぎ、かぼちゃなどの食材、鹿茸処方などにより育ちます。
妊活2年、なかなか授からない38歳のTさんは、体温が高く、ほてり、肌の乾燥がある反面、寒がりで手足の冷えがあります。
舌の色は赤く、苔がないので、陰の不足が顕著ですが、陽の不足も見受けられます。
陰を補う地黄処方、陰血を補う当帰処方を全周期服用しながら、高温期は陽を補う鹿茸製剤を少量服用することになりました。
3カ月で、肌の乾燥、排卵期の牽糸性のオリモノの改善がみられ、1年後理想的な体温が、見られるようになり、40歳で元気な男の子を授かられました。
体内の陰陽の調和を図ることは、命を育む力を養い、強くする大事な方法だと認識した症例です。