滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2025年1月分をご紹介いたします。

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今月は、第277回『痒みが辛いアレルギー肌~漢方薬で肌トラブル解消~』です。

-以下、記事本文-

アレルギー肌が悩みの60代女性、Kさん。
毎年決まった時期に、顔や体のいたるところにかゆみを伴う赤いふくらみが出来ます。
今までは1~2か月で治まっていたのが、今年は4カ月以上も症状が続き、一向に良くならないとの相談です。

一般的に、アレルギーによる皮膚症状は原因の特定と対症療法で、症状が起こりにくい環境を整えることを重視します。
しかし東洋医学では、体の寒熱、虚実、気・血・水などの乱れを考え、それに合わせて漢方薬を選ぶことで、アレルギーの原因にとらわれずに症状を和らげることが出来ます。
また同時に、アレルギー症状を起こさない体づくりをするという根本的な改善を図るのです。

Kさんには血の質を整える漢方薬と、体内の余分な熱を取り除き炎症を鎮める漢方薬を選びました。
服用1カ月で効果が現れ始め、症状の出方がかなり和らぎました。
その後、数日ほど再発したものの、2カ月目には大部分が改善。3カ月目では症状が完全に落ち着き、4カ月半ほどで服用を終了することが出来ました。
その後1年以上経過しましたが、特に再発の報告はありません。

皮膚のトラブルは年齢性別を問わず多いもの。
特にアレルギー性の場合は、季節や環境の影響により、長期間悩まされる傾向があります。
現在起こっている皮膚症状の改善(標治)と、アレルギー体質の改善(本治)を同時に行うことを東洋医学では標本同治と言います。
西洋医学とは身体や病いに対する考え方やとらえ方が異なりますが、異なるからこそできることもあるものです。

滋賀夕刊掲載【第277回】漢方薬のおはなし