滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2025年2月分をご紹介いたします。
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今月は、第278回『産後のこころと体の不調に~子育てを支える漢方薬~』です。
-以下、記事本文-
「日中は子供につきっきり、夜もうまく眠れなくて、もう頭がおかしくなりそうで…」と思いつめた表情で話すKさん。
パートナーは激務で家を空けることが多く、一人で育児をしているうちに体力的にも精神的にも追い詰められ、昼間の不安感が強くとても辛いと来店されました。
特に月経前になると症状がよりひどくなり、気づくと涙が出ていることも多いとのことでした。
東洋医学では、生きるために必要なエネルギーを「気」、血液を「血」と表現します。
気血は心身の元気の源とも言え、特に「血」が不足すると精神が不安定になるため、不安感やクヨクヨ、焦りを感じやすくなり、睡眠にも影響し、寝つきや睡眠の質が悪くなります。
Kさんの症状も、血が不足した状態と考えられました。
Kさんには、血を補う漢方薬を中心に、気の巡りを良くするものと、脳の異常な興奮を和らげるものを合わせて選びました。
3週間ほど経過し、不安感やソワソワ、イライラがかなり減り、3カ月ほどで夜中もほとんど起きなくなりました。
何か心配事があるときは、血を補う漢方薬をしっかり飲むと、気持ちも楽に乗り切れるようです。
その後、漢方薬を飲み続けて半年ほどで再就職することができ、「働けるようになるとは思っていなかった」と、嬉しそうな笑顔が印象的でした。
妊娠、出産を経て、休む暇もなく育児が始まる…体力的にも精神的にも限界を感じるときは少なくありません。
子育てにはたくさんの支えが必要です。
一人で抱え込まないようにすることも大切です。
そして漢方薬も大きな力になるのです。