滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2025年7月分をご紹介いたします。
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今月は、第283回『治らない右肩の痛み…~体質を見極め根本から解消~』です。
-以下、記事本文-
右肩のつらい痛みが悩みの50代のJさん。
半年ほど前から痛みが始まり、その後腕が段々上がらなくなってしまいました。
日常生活にも支障が出る程で、色々治療に通われるも中々良くなりませんでした。
痛み止めもあまり効かず、夜間も眠れないほどになり当薬局に相談です。
Jさんはいわゆる「四十肩、五十肩」と思われました。
正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節そのものあるいは、関節を繋ぐ周辺の組織で炎症、固縮(固まること)が起き、痛みが起きたり動きが制限されたりします。
東洋医学では痛みに対しては不通則痛、不栄則痛の原則があり、痛みを起こす原因である気、血、水の不足や滞りを改善することが大切です。
また改善する上では、対症療法ではなく根本的な改善にこだわり、痛みそのものの原因を解消することを目的としています。
Jさんは元々漢方薬も試しましたが、改善が見られませんでした。
服用していたのは水の巡りを整える漢方薬でしたが、当薬局では上半身を中心とした、水と血の巡りが滞っている状態を解消する漢方薬を選びました。
服用開始から2か月で少し良い変化があり、動かせる範囲が増えました。
3か月で夜間の痛みが消失、動きの範囲もさらに広がりました。
4か月で日常生活の制限はほとんどなくなり、痛みも出なくなり、5か月の時点で服用終了となりました。
ひとつの薬方が万人に効くという事は基本的にはありません。
同病異治と言い、同じ症状でも漢方薬は人により違うのです。
専門的な知識を元に体質を見極め、生薬の質や種類にこだわった漢方薬を選ぶことが大切です。