滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2024年9月分をご紹介いたします。
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今月は、第273回『歩くのが辛い足腰の痛み~漢方薬でいつまでも元気に~』です。
-以下、記事本文-
腰から下の痛みや痺れでお悩みの60代のHさん。1年ほど前から症状が出始めました。
腰の痛みに加えて、左のおしりからもも裏にかけて激痛があり、足の裏までのしびれにも悩まされています。
思うように歩くことが出来ず、立ち仕事をしているため非常に辛いとのことで、ご相談に来られました。
腰痛、腰から下の痺れは様々な原因が考えられますが、この方は病院で脊柱管狭窄症、腰椎すべり症と診断されました。
脊柱管狭窄症は、脊椎が傷つき変形することで、近くを通る神経を圧迫して起こります。
根治は難しく、対症療法が一般的とされている疾患です。
Hさんの場合は、腰椎すべり症(腰椎がずれてしまう疾患)も併発していたため、これがきっかけで脊柱管狭窄症になってしまったことが予想されます。
東洋医学では痛みに対して、不通則痛、不栄則痛という原則があり、痛みを起こす原因である気、血、水の不足や滞りを改善することが大切です。
体質に合わせて正しく漢方薬を使うことで、痛みが和らぐだけでなく、痛みの再発を防ぐことも可能です。
Hさんには、①風湿を取り除き、炎症を抑えて痛みを和らげる、②水分代謝を改善して骨や関節を元気にする、という2点を目標として漢方薬を選びました。
服用開始から1か月で改善が見られ始め、2か月目にはしびれや痛みの大部分が和らぎました。
現在も漢方薬の服用は続けていますが、仕事にも元気に行かれています。
いつまでも元気で過ごすという万人の願い、漢方薬によってその一助を担えていることはとても嬉しく思います。