滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2017年8月分をご紹介いたします。

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今月は、第188回『夏バテを残さない~秋を元気に迎える~』です。

-以下、記事本文-

「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」とあるように、強い日差しの中にも時折心地よい秋の風を感じるようになりました。
この詩が読まれた平安時代は、日本最古の医学書である「医心方」が書かれた時代でもあります。全30巻に及ぶ医心方の中には、1巻まるまる暑気あたり(夏バテ)や日射病について書かれた巻がある程で、平安時代の人々も暑さには相当悩まされていたことがわかります。

いつの時代も共通の悩みである夏バテの主な症状は、食欲が出ない・体がだるい・疲れが残るなどです。
食欲が出ないからと、口当たりの良い冷麺など冷たいものばかりを食べて過ごしていると、胃腸が冷えて体が弱り、夏バテの悪循環を起こします。
ナスやトマト、ゴーヤなどの夏野菜や豆腐、緑茶など、体にこもった要らない熱を取る働きがあるものを、火を通したり温めたりして頂くのがおすすめです。

漢方薬では勝湿顆粒がよく使われます。
勝湿顆粒は、体にこもった湿気を取りつつ胃腸を元気にする漢方薬です。
香りが良く食欲も正常に戻すので、この時期の心強い味方です。

40代のKさんは、毎年夏になると必ず夏バテし、気分も塞いで会社も休みがちになるとお困りでした。
勝湿顆粒を中心に漢方薬をお飲み頂いたところ、体のだるさや食欲不振、お通じが改善し、気分も安定し、この夏は一度も会社を休まずに行けたと嬉しそうに話されました。

温暖化とは言いますが、実は、平安時代の夏は今と同じくらい暑かったとか。
エアコンや扇風機がない中、養生して過ごしていたようです。
私たちもしっかり養生して夏の疲れを取り、秋を元気に迎えたいですね。

滋賀夕刊掲載【第188回】漢方薬のおはなし