滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2017年11月分をご紹介いたします。

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今月は、第191回『冬の養生法~黒色のものを食べ、ゆっくり休む~』です。

-以下、記事本文-

ウォームビズで頑張っていた自宅にも、ついにストーブが登場しました。朝は布団から出辛い日もあり、冬もそこまで来ていますね。

東洋医学のバイブルであり、現存する中国最古の医学書とされる『黄帝内経(こうていだいけい)』には、冬の養生についてこのように書かれています。

―冬は万物が休む時期であり、エネルギーを浪費してはならない。
いつもより少し遅く起き、いつもより早く眠る。
心を穏やかにし満ち足りた気持ちで過ごす。
寒さを避けて暖かくし、汗をかいて体力が奪われるような事をしてはならない。
もしこの道理に反すると、腎気を損傷して体が弱り、春に活動できなくなる。(意訳)―

腎気とは、生命活動をつかさどる“腎”の気(エネルギー)の事で、つまり生命エネルギーです。
冬はこの腎気をしっかり蓄えて、春の活動力に繋げる事が大切です。

腎を元気にして腎気を蓄える方法には、上の養生法の他に、腎に良い食べ物の力を借りる方法もあります。

腎を元気にする食べ物は、主に黒色のものです。
黒ごま・ごぼう・キクラゲ・黒豆などを温かいお料理にして食べるとよいでしょう。
他にも、黒く長いウナギや、皮膚・内臓・骨全て黒色の烏骨鶏にも腎気を補填する力があります。
先週の朝イチで料理研究家のパン・ウェイさんが「冬は黒!」とおっしゃっていたのは、このような理由があったからです。

黒色のものを食べ、決して無理せずしっかり休み、体も心も安静にして、春に向けて英気を養うこと、これが冬の養生法です。

冬の寝坊や、コタツでゴロゴロ、一見ぐうたらに見える行動も、実は立派な養生法なのかもしれません。

滋賀夕刊掲載【第191回】漢方薬のおはなし