滋賀夕刊に掲載中の【漢方薬のおはなし】2024年8月分をご紹介いたします。

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今月は、第272回『更年期の悩み~ホットフラッシュ、意欲低下~』です。

-以下、記事本文-

更年期に入ると、多くの女性がホットフラッシュに悩まされます。
突然のほてりや異常な発汗は、自分の体がコントロールできない不安を引き起こします。
漢方では、これを「腎」の働きの弱りと考えます。

「腎」は老化や生殖を司る重要な臓器であり、閉経はこの「腎」の機能低下と深く関係しているとされています。
「腎」の働きが弱くなると、体内の潤いが不足し、「腎陰」が減少することで体温調節が乱れます。
その結果、急なほてりや発汗、乾燥によるかゆみやのどの渇きといった症状が現れるのです。

自律神経を司る「肝」もまた、「腎」の影響を受けて機能が低下し、自律神経の働きが乱れることが多くなります。
このため、精神的なイライラや不安感、動悸なども現れやすくなります。

漢方では、この「腎」と「肝」の働きを整え、体のバランスを取り戻すことで、更年期の症状を和らげることを目指します。

Aさんは閉経後にホットフラッシュに悩まされ、寝つきが悪くなりました。
夜中に目が覚めるとなかなか眠れず、睡眠不足から日中はいつも頭が重く、好きだった旅行も億劫に感じるようになったそうです。

酸棗仁、女貞子、亀板を含む漢方薬を飲み始めると、朝まで眠れる日が少しずつ増え、朝からすっきりした気持ちでいられることが多くなりました。
そして、ホットフラッシュが和らぐとともに、心身ともに元気を取り戻し、再び旅行を楽しめるようになりました。

漢方薬は、更年期を穏やかに乗り越え、生き生きとした日々を取り戻すための一つの方法です。
そして、女性が次の人生のステージに向かう際の大きな支えとなるでしょう。

滋賀夕刊掲載【第272回】漢方薬のおはなし