先日、彦根のHATOスタジアムにアメリカンフットボールのXリーグプレミアの試合観戦に行ってきました
アメフト部で汗と砂にまみれた高校3年間
あれからもう50年近く経ち、その記憶も興味もどんどん薄れてきていたのですが…
先日、毎月記事を載せている滋賀夕刊にアメフト社会人Xリーグの試合の広告が…
神戸ファイニーズ対セキスイ~~
ん? 神戸ファイニーズってあの湖北ファイニーズの…!?
ってことで、無料招待チケットをゲットし、サト先生も付き合ってくれ…
めっちゃ立派できれいなスタジアム
マッチョのぶつかり合い、ほとんど休みのないチアダンス
70年代ロックも…
ほとんどルールを知らないサト先生も楽しかったって…
やっぱりアメフトは面白い!!

ということで

今回はアトピー性皮膚炎でお悩みの22才男性の紹介です

乳児の頃から湿疹が出始め、顔から体全身に広がりました
小学校ぐらいまで続いていたのが、民間療法などで治まり、
中学の時も顔に一時湿疹が出るも、クリームだけで治めることができました
それが、一年ぐらい前から乾燥がひどくなってきて
腕や足首などに痒みのある湿疹が出来て治りません
漢方で体質から治せないかとご相談です

診ると、手の甲側から上腕にかけて紅斑や丘疹ができ
足の甲は慢性化した湿疹が出来ています
糸練功で確認し、体質改善も含め2種類漢方薬を選び、煎じ薬でお飲み頂くことに。
また、アレルギーチェックをしたところ、小麦、油脂、あくに反応があります
学生さんで一人住まいのため、なかなか食養生は大変だと思われましたが
可能な限り避けてもらうようにしました
アトピ―皮膚の改善には最初からずっと良くなり続けるというのはなかなか難しく
症状の改善には波があります
経過の中で一時的に悪化する事もあり、その都度少しずつの調節もしながらお続け頂きました
一年半頃には大分落ち着いてきて、環境の影響をあまり受けなくなってきました
その後も根気よくお続け頂き、2年半の服用で、皮ふもきれいになり漢方薬を終了することが出来ました


(来店半年後、一時悪化時)


(漢方薬終了時点)

~~~ちょこっと漢方薬のお話~~~

体質改善的にも使える漢方薬には多くの種類がありますが、その中でも柴胡剤があります
柴胡剤の中で、一番実証タイプに用いるのが大柴胡湯です

薬味は
柴胡、芍薬、黄芩、大棗、半夏、枳実、生姜、大黄

*傷寒論の宋本や康平本には大黄は入っていないのですが
若し大黄を加えざれば恐らくは大柴胡湯とならざるべし と書かれていたりします
金匱要略は大黄が入っています

出典は傷寒論、金匱要略
太陽病過經十餘日反二三下之後四五日柴胡證仍在者先與小柴胡湯嘔不止心下急鬱鬱微煩者為未解也與大柴胡湯下之則癒
/傷寒論 太陽病中編
(太陽病にかかり十余日も続いているのに誤って2、3回之を下し、その後4、5日たってまだ柴胡剤の証があるなら、まず小柴胡湯を与える、これでも嘔が止まず、心下部がつまったように固く、鬱鬱として胸苦しい者はまだ緩解しないためである。大柴胡湯を与えて下せば治る)

傷寒十餘日熱結在裏復往来寒熱者與大柴胡湯~ /傷寒論 太陽病下編
(傷寒にかかり十余日過ぎて熱が裏に結んでも反って往来寒熱のある者は大柴胡湯を与える)

傷寒発熱汗出不解心中痞鞕嘔吐而下利者大柴胡湯主之/傷寒論 太陽病下編
(傷寒を病んでいる際に発熱し汗が出たが病は解せず心中が痞鞕し嘔吐があり而も下利のある者は大柴胡湯が主治する)

按之心下満痛者此為實也當下之宜大柴胡湯 /金匱要略 腹満寒仙宿食病
(押さえてみぞ落ちが痛い時は中が詰まっているためで下すべきである、下すには大柴胡湯が良い)

先にも書きましたが柴胡剤の中で最も実証タイプに用います
八綱は裏熱実証で、大黄が入る大柴胡湯はより実で陽明病に近づくため、陽明と少陽の合病とも言えます

薬味的には
柴胡、枳実、芍薬、甘草 の四逆散から甘草を去し、黄芩、半夏、生姜、大黄を加えたものになります

柴胡剤の虚実は薬味の量が大事で、(文献によって各薬味量は違うのですが、同じ文献で比べます)
大柴胡湯 柴胡6、黄芩3、半夏4、大棗3、芍薬3、枳実2、生姜1、大黄1
小柴胡湯 柴胡7、黄芩3、半夏3、大棗3、人参3、甘草2、生姜1
四逆散  柴胡5、枳実2、芍薬4、甘草1.5
柴胡の量は小柴胡湯の方が多いのですが、大柴胡湯の半夏の量や枳実、芍薬、大黄、小柴胡湯の人参、甘草の違いが虚実に影響することがわかります
この大柴胡湯や四逆散の枳実芍薬(=枳実芍薬散/金匱要略)は強い気滞を通じ、
枳実芍薬に大黄を組むとき、大黄の量は少なくても良く大便を通じます

傷寒論、金匱要略の条文的には急性病に使いますが、飲み方を加減して量を少なくするなど工夫すると、充分慢性病や体質改善的に使えます

応用は柴胡剤として
消化器疾患(胃炎、胃潰瘍、胃酸分泌過多、食欲不振…)
肝臓、胆のう、すい臓疾患(胆石、胆嚢炎、肝炎、肝硬変、膵炎、糖尿病…)
腎臓疾患、心臓疾患、高血圧、動脈硬化、脳溢血…
気管支炎、肺炎、肋膜炎…
皮膚疾患、精神神経疾患…
など非常に応用幅は広く、中焦の清熱解毒である柴胡剤を使う中で最も実証タイプということになります

合方は
黄連解毒湯、桂枝茯苓丸、桃核承気湯など
加味は
厚朴、牡蛎、竜骨、茵蔯、黄連、山梔子、地黄など
加味合方を工夫することにより、色んな疾患や状態、体質に対処できるのです

大柴胡湯証の体質は
筋骨たくましく、上腹角が広く、心下部が厚くて堅い
という特徴があります

ということで、先日のHATOスタジアムには大柴胡湯証の選手がたくさんおられました…(^^;


(傷寒論・金匱要略/方術信和会より)